京アニ放火 石田さんの父が会見「多くの夢と感動残してくれた」

 「私たちに多くの夢と感動を残してくれました。本当に素晴らしい子でした」。京都アニメーション放火殺人事件の犠牲者として身元が公表された石田敦志さん(31)=京都府宇治市=の父、基志(もとし)さん(66)は27日、京都府警伏見署で会見し、涙をこらえながら無念の思いを語った。

 温厚で、人と争うことが嫌いな優しい性格だったという敦志さん。幼少期からアニメに興味を持ち、「大きくなったらアニメの仕事をしたい」と話していた。

 制作現場が過酷な労働環境だと聞いた基志さんは自身で業界の事情を調査。「クリエーターを大事にする」という京都アニメーションの企業理念に共感し、息子には京アニに入社することを“課題”として示した。

 敦志さんは福岡工業大で情報工学を学ぶかたわら、夜間のアニメ専門学校で学び、平成21年に京アニに入社した。課題をクリアした息子を、基志さんは「高いハードルを何度も自力で飛び越え、夢をかなえた」と振り返る。

 入社後は「けいおん!」など30以上の作品に携わった。テレビ放送があるときはチャンネルや開始時間を連絡してくれ、映画が公開される際はチケットを送ってくれた。「エンドロールで名前を見るのが家族一同の楽しみで、何度も夢と希望を与えてくれた」

 身元公表にあわせて取材に応じた理由について「息子も含めて皆、希望と誇りを持って毎日仕事をしていた。それぞれ名前を持っている。それが35分の1で果たしていいのか。われわれ残った者には、頑張っていたことを多くの人に記憶してもらうことしかできない」と説明した。そして「優秀な方々と志半ばで旅立ったが、(天国で)大好きな仲間と再会し、皆さんとともに夢をかなえてくれると思いたい」と言葉を振り絞った。

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