京アニ放火 消防「中に入りたくても入れず」

 京都アニメーションのスタジオ放火事件で、消火・救助活動に当たった京都市消防局の男性指揮隊長(57)ら2人が26日、報道陣の取材に応じ「経験したことのないほどの火災だった」と振り返った。119番から5分で駆けつけたがすでに立ち入ることすら困難な状態で、2人は「34人が亡くなったのは大変残念。やりきれない思いだ」と語った。

 事件発生は18日午前10時半ごろ。通報を受けて現場に向かう車の中で、指揮隊長は立ち上る黒煙をみた。「これは、かなりの規模の火災だ」。負傷者が多数いることを想定し、到着前から最大級の救助態勢を組む集団救急救助を要請した。

 現場は想像を超える惨状だった。3階建てのスタジオは炎に包まれ、窓からは黒煙が吹き上がる。建物の外には逃げ出した多数の負傷者がいた。「スタジオの中に何人いるのか、けが人は何人なのか、全容が見えなかった」(指揮隊長)。

 同消防局は、過去最大規模となる55消防・救急隊計200人以上を現場に投入したが、炎と熱気、煙が活動を阻んだ。

 事件では、青葉真司容疑者(41)がスタジオにガソリンをまいて放火したとされる。ガソリンは気化しやすく、室内でまかれると燃焼範囲はすぐに拡大。窓ガラスなどが熱で破壊され、外の空気が室内に流れ込むことで炎の勢いが増す「爆燃(ばくねん)現象」が起きた可能性があり、空気に浮力が生まれて炎が上に向かっていく「煙突効果」が生じたとも指摘されている。

 前線指揮をとった男性副指揮隊長(46)は「全員が、一人でも多くの命を救うという気持ちで活動したが、中に入りたくても、入れなかった」と涙を浮かべた。最も多い20人が犠牲になったスタジオ3階に入ることができたのは、発生から4時間以上も後だった。

 消火と救助、多数の負傷者の搬送を並行して行う活動は困難を極め、熱中症になる隊員もいた。救助者がいるのに救助できなかったという思いを抱えた隊員も多く、同消防局は必要に応じてカウンセラーを派遣するなど心のケアにあたる方針だ。

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