京アニ事件1週間 「またいつか素敵な作品を」現場に祈り

 「人生を変えてくれた」「なぜ若い命が犠牲に」…。アニメ制作会社「京都アニメーション」(京アニ)のスタジオで起きた放火事件から25日で1週間。現場や京都府宇治市の本社には事件後、京アニの影響を受けたファンや、スタッフをよく知る地域住民など多くの人が訪れた。さまざまな思いを胸に、被害者の冥福を祈り続けている。

 この日、現場付近に設置された献花台では、朝から多くの人たちが手を合わせた。お小遣いで花を買ってきた宇治市の中学1年の男子生徒(12)は「前みたいな活気を取り戻してほしい」と願いを込めた。京アニの作品を高校生の頃から毎日のように見てきたという京都市伏見区の大学院生の男性(25)は、「いちファンとして、またいつか、素敵な作品を作ってほしい」と祈った。

 京アニへの感謝を口にする人も。台湾から訪れたハン・テンキンさん(26)は、ゲームデザイナーという道を選ぶことを後押ししてくれたのが京アニの作品だという。「私に夢を与えてくれ、人生を変えてくれた」と話した。

 この1週間、献花台や京都府宇治市の本社を訪れた人たちは数え切れない。

 京アニと仕事の付き合いがあったという大阪府内の元アニメーターの女性は、本社を訪ねた。「事件を知り、身につまされる思いがした。社員はみな仕事熱心で、言葉遣いも丁寧。優しい人ばかりだった」と振り返り、「未来ある人材、これからアニメ界を背負っていく人たちを失ったと思うとつらい」と顔を伏せた。

 「声優になったら京都アニメーションさんと一緒に仕事がしたいと思っていた」。こう話すのは、声優を目指して専門学校に通っている名古屋市の今井匠さん(19)。「京都を舞台にした京アニ作品『たまこまーけっと』が声優を目指すきっかけのひとつ。声優になることができたら、恩返しがしたい」と決意を語った。

 スタジオの近くに住む女性(91)は「夜になっても電気がついてることもあり、『若いのに本当に頑張って仕事しているんだな』と感心していた。パソコンに向かってひたむきに仕事をする姿が印象に残っている。なぜ若い命が犠牲になるのか」と悼んだ。

 一方、「同じクリエーターとして強い悲しみを感じる」と話したのは、大津市の20代の女性会社員。「アニメや映画は完成まで長い時間と労力をかけるものなのに、それが身勝手な犯行で一瞬で燃え消えてしまったと思い、涙が止まらなくなった」という。

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