NGT48山口さん事件 民事裁判の行方は 新事実飛び出すか

 新潟を拠点に活動するアイドルグループ「NGT48」の元メンバー、山口真帆さん(23)に対する暴行事件をめぐり、運営会社「AKS」(東京)が、暴行容疑で逮捕された男性ファン2人=不起訴=に3000万円の損害賠償を支払うよう求めた訴訟が新潟地裁(篠原礼裁判長)で始まった。被告側は争う構えを見せており、今後新たな事実が飛び出す可能性もある。国民的アイドルグループ「AKBグループ」の一角を占めるNGT48の命運を握る裁判の行方は-。

 ■名前をあげられた8人のメンバー

 今回の裁判の争点の中で最も注目されるのは、すべての出発点ともいえる事件の背景・経緯だ。

 男性ファン2人が暴行容疑で新潟県警に逮捕されたのは昨年12月9日。2人は「暴行はしていない」と否認。新潟地検は同月28日、理由を明かさずに不起訴処分を下した。証拠不十分なのか、嫌疑なしなのか-。事件の核心部分が知らされないまま事態は進展した。

 訴状によると、男性ファンは事件直後、山口さんやAKS関係者を前に「ほかのメンバーさんとかとまあ、ぶっちゃけいったら、会ったりとかしてて、一緒に遊んだりとか、ちょっとご飯食べたりとか」「いままで関わってきたメンバーさんとかと、まあちょっと、どういうふうに(山口さんと)会ったら、いいかなって話してて」などと話した。さらに山口さんから「繋がっていて関わっているメンバーは誰か」と問われ、8人の名前をあげた。

 グループ内に事件の協力者がいたとなれば一大事だ。インターネット上では、犯人扱いされたメンバーの会員制交流サイト(SNS)が炎上。グループ内の信頼関係も崩壊し、公演中止に追い込まれた。

 ■不法行為と因果関係

 損害賠償を求める裁判で、ポイントとなるのは「不法行為の範囲」と「因果関係」だ。今回のケースでいえば、事件とその直後の男性ファン2人の発言が不法行為、そしてその不法行為がどのようにAKSに損害を与えたかが因果関係になる。

 今回の裁判でも、まず事件(不法行為)の事実認定が改めて行われる。物的証拠が少ない暴行事件の捜査では、現場にいた3人の証言が有力な証拠になるため、山口さんと男性ファン2人の証言の信憑性(しんぴょうせい)が問われることになる。

 「刑事処分と違い、民事裁判は被害者の意見が重視されやすい」と指摘するのは、元検事の小林英明弁護士。刑事的には、2(男性ファン)対1(山口さん)で山口さんに不利になりがちだが、民事では逆転する可能性があるというわけだ。「暴行の事実認定では当然、周辺事情も勘案する。改めて他のメンバーの関与やつながりの有無、その程度についても判断されることになるだろう」

 ■「対応の悪さ」…運営責任論も

 暴行の事実認定がなされた後、因果関係が問題になる。

 AKSは第三者委員会の調査結果を受け、「事件に関与したメンバーはいない」「私的なつながりは証拠がない」などと結論付けた。2人はいわば“嘘”を言ったことになるが、訴状では、その“嘘”が山口さんに他のメンバーの関与を誤信させ、グループ内の信頼関係が崩壊、グループ運営が困難になることを認識していた、と主張している。

 また、損害はこれまでに劇場公演中止による月額1188万円▽3~5月のツアーコンサート中止3994万円▽広告使用中止など2000万円▽第三者委員会への報酬金4470万円-などとしている。

 これに対し、ネット上では「運営の対応の悪さ」から、損害発生の責任はAKSにもあると指摘する声が相次いでいる。小林弁護士も「被告側としては『運営が山口さんを説得できなかったのが損害発生の原因』と主張することもできる」と指摘する。

 さらに、損害額については「本当に第三者委に調査を依頼する必要があったのか」「警備費はもともと必要だったのではないか」など、支出の妥当性を問う余地があるとしている。

■山口さん出廷も?

 「公開の場で真相の解明を進め、再発防止につなげたい」というAKS側は今後、他のメンバーを法廷に呼ぶ可能性を否定せず、山口さん本人についても「検討する」とした。一方で、第三者委の調査に応じず、第1回口頭弁論にも姿を現さなかった男性ファンらが証言台に立ち、事件をめぐる新たな事実を明らかにする可能性もある。

 訴訟の進行に関して必要なことを話し合う進行協議は2カ月先の9月20日。本格的な活動が再開できないNGT48のメンバーらにとって早くはないだろう。事件発生から8カ月。事態が収束する気配はまだない。

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