「妻がやった」と口裏あわせ 大阪府警刑事部ナンバー2

 「妻がやった」。警察官昇任試験の対策問題集をめぐる報酬受領問題で12日、減給の懲戒処分を受けた大阪府警の野田哲治警視正(58)は当初、こう説明し、自身の関与を否定したという。だが、実際は長年にわたり、組織に隠れて現金を受け取っていた。それも多いときで月に約150万、合計で約2千万円という高額。若手警察官らが昇任を目指して購入する問題集を金もうけに利用していた格好で、府警内部からも厳しい声が上がった。

 報道で問題が発覚したのは今年1月。全国の警察幹部が出版社側から報酬を受け取ったとされたが、その中でも野田警視正の金額は突出していた。

 府警関係者によると、当初の内部調査に対し、野田警視正は関与を全面的に否定。産経新聞の取材にも「問題を書いてもいないし、報酬ももらっていないとしか言いようがない」などと答えていた。

 府警に求められて提出した口座記録には、出版社側からの振り込みが記載されていたが、「(元警察職員の)妻が執筆依頼を受け、知人に書いてもらっていた。金は分配しており、自分は知らなかった」と釈明。出版社側には、こうした筋書きで口裏合わせをするよう依頼していた。

 しかし、職場の異動歴と出金場所が重なるなど、本人が口座の存在を知っていたことをうかがわせる点が浮上。出版社側から口裏合わせの事実も確認し、府警が改めて事情を聴いたところ、5月になって執筆と報酬受領を認めたという。

 野田警視正は捜査1課などの刑事畑を主に歩み、平成27年に警視正に昇任。30年からは、特殊詐欺対策の指揮などにあたる刑事部ナンバー2の刑事部参事官を務めていた。

 府警内部では「賢い」「理論派」などの評価がある一方、「部下への指導が厳しすぎる」との声も。警部補時代に警察庁へ出向しており、このときに出版社関係者とのつながりができたという。

 府警の調査では、報酬を受け取っていたのは22年1月ごろから30年8月まで。この間には、2カ所の警察署長や警察学校の副校長などを歴任している。府警関係者は「要職にありながら、組織に隠れて民間会社から多額の現金を受け取っていたのは許されることではない」と指摘する。

 特に問題視されるのは、多額の報酬が昇任試験対策の問題集執筆の対価だったという点だ。

 警察の階級は下から巡査、巡査部長、警部補、警部、警視、警視正などとなっており、主に警部までは法律知識などを問う筆記試験を経て昇任する。多くの警察官は対策問題集や参考書を購入して勉強するが、1冊数千円、年間で数万円の出費になることもある。

 ある府警幹部は「若手警察官らにとっては決して軽くない負担。警視正ほどの幹部がそれを利用して金もうけをしていたとなれば、組織がもたない。『知らない』では済まされなかった」と話している。

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