大津市園児死傷事故から1カ月 散歩の安全へ模索続く

 大津市の県道交差点で車2台が衝突し、軽乗用車が信号待ちをしていた保育園児らに突っ込んで16人が死傷した事故から8日で1カ月となった。いつもと変わらない楽しい散歩の時間が一転し、悲劇が襲った今回の事故。保育の現場では衝撃と不安が広がっている。交通弱者となる子供をどう守るのか。行政や警察も含めて模索が続く。

◇緊張の表情で…

 「いってきます」

 6月初旬、初夏の日差しが降り注ぐ日の朝。大津市内のある市立保育園の園児たちが散歩に出かけた。楽しそうな子供たちの様子とは裏腹に、引率の保育士の顔には緊張の表情が浮かんでいた。

 この日は約1・6キロ離れた湖岸沿いまで弁当を持参してのピクニック。約30人の園児の移動を4人の保育士が見守る。和やかな雰囲気が続く中、保育士は車や周りの危険から園児を守るため、隅々まで気を配る。

 「車が通る道は気をつけようね」「ここは道が狭くなるから端に寄ろうね」

 交通量の多い交差点や横断歩道では、保育士たちが子供たちを囲むように先頭と真ん中、最後尾に付く。信号待ち中は、車道から離れた場所で待つことを徹底した。散歩に付き添った保育士は「小さな命を預かっている責任は大きく、園児たちに何かあってはならないと細心の注意を払っている」と説明する。

◇誰もが加害者に

 事故後に緊張感が増したのは、保育現場だけではない。

 大津市や滋賀県警はこれまで小中学校の通学路の安全対策を行ってきたが、保育園や幼稚園などの散歩ルートまで十分に行き届いていなかったという。今回の事故を受け、5月末から市内の保育園など約150施設の散歩ルートの点検を開始。さらに6月からは、市が職員91人態勢で散歩ルートなどの安全確保への取り組みを進めるプロジェクトを立ち上げた。

 この保育園も点検を受け、市や県警から交通量の多い道路を避けるよう提案をされ、散歩ルートを一部変更した。園長は「交通量が多かったり、車のスピードが出ていたりする場所が改めてわかった。二度と同じような事故が起きないよう園児の安全確保に努めたい」と話す。

 また、点検を受けた散歩ルートのうち、横断歩道や路側帯の区画線が一部消えかかっている箇所があることも判明。道路の不備が原因で車が事故を引き起こす可能性もあるため、対策は急務だ。

 ただ、県警交通企画課の芦田武信課長補佐はこう訴える。「事故を防ぐ一番の要はやはりドライバーの運転だ。運転中に考えごとをしたり、脇見をしたり、漫然と運転をしていないか、ドライバーにはもう一度自身の運転を振り返ってほしい」

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