深刻な中高年の引きこもり 専門家「解決焦らないで」

 川崎市の殺傷事件と東京都練馬区の刺殺事件で共通のキーワードとして浮かび上がったのが「中高年の引きこもり」だ。調査結果によると若者世代よりも人数が多く、自宅に引きこもる年月が長期にわたるケースも顕著になっている。適切な対応策への関心が高まる中、専門家は「解決を焦らずに専門機関を頼ってほしい」と呼びかけている。

 川崎市の事件で犯行後に自殺した岩崎隆一容疑者(51)は、高齢の伯父夫婦と同居する家で、長期間にわたって引きこもり生活を送っていた。元農水次官の男が刺殺した長男(44)も、引きこもりがちだったという。

 今年3月に内閣府が公表した調査結果によると、40~64歳で家族以外とほとんど交流せずに半年以上、自宅に引きこもる人は推計61万3千人と、15~39歳(同54万1千人)を上回った。

 こうした中高年の引きこもりは、76・6%が男性。7年以上の長期にわたる人は46・7%を占め、30年以上という人も6%いた。きっかけは「退職」が最も多く、次いで「人間関係」や「病気」となっている。

 引きこもりの中高年を支援しているNPO法人「STEP・北九州」の田中美穂理事は、「今回のような事件が起きると、『引きこもりは危ない』というイメージが一人歩きしてしまいがちだが、引きこもりに至る理由は、人それぞれ異なっている」と指摘する。

 中高年の引きこもりでは、支える親側が自身の高齢化などもあって今後の生活に不安を抱き、解決を焦りがちになる。田中理事は、「その人に合ったアドバイスや方法を粘り強く探っていく必要があり、一朝一夕には解決できない。引きこもりになる人は、そうなる前から内面で葛藤してきている。家族内だけで何とかしようとせず、専門の相談機関を頼ってほしい」と話した。

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