「中高年」ひきこもり なぜ? 川崎殺傷事件で改めて注目

 川崎市で児童ら19人が殺傷された事件で、逮捕されたは岩崎隆一容疑者(51)はひきこもりがちだったとされる。社会問題化している中高年のひきこもり。80代の親と同居し、ひきこもる50代の子のいる家庭が増えているという「8050(はちまるごーまる)問題」の名付け親で、大阪府豊中市社会福祉協議会福祉推進室長の勝部麗子さんに話を聞いた。

 「岩崎容疑者は両親ではなく高齢の親族と暮らす自宅で、長年ひきこもっていたとされています。8050問題の一般的なケースよりも、さらに複雑な家庭環境があったと思われます」

 「岩崎容疑者はすでに自殺しており、ひきこもりと事件の動機との因果関係は分かっていません。ひきこもりの当事者はそれぞれ異なる事情を抱えており、誰もがこうした事件を起こすという偏見が助長されることを危惧します」

 「インターネット上では岩崎容疑者について、1人で死ねばよかった、などという声も上がっています。多大な被害を生んだ卑劣な事件であることは疑いようもありませんが、なぜこのような事件が起きたのか、社会全体で考える必要があります」

 「今回のケースでは、親族が事件前に訪問看護を受ける際、自宅にひきこもる岩崎容疑者がトラブルを起こさないか、市に何度も相談に訪れていたようです。一方、岩崎容疑者は、長年社会から断絶した生活を送ることで孤独を深めるとともに、親族の老いに対する焦りを抱えていたのではないでしょうか。親族の相談を受けた市が岩崎容疑者とつながることができなかったことは非常に残念ですが、難しい事情もあったのだと思います」

 「高齢化した親族は長い年月の末、岩崎容疑者との膠着(こうちゃく)した関係をどうにもすることができず、市に助けを求めたはずだと思います。こうした段階では第三者の専門スタッフが家庭訪問などをし、ひきこもりの当事者にアプローチする『アウトリーチ』をしなければ解決できない状態になっていることが多いです」

 「近年、自治体や社会福祉協議会にはひきこもりの相談窓口が設けられていますが、対応できる人員などには、まだまだ地域差があります。豊中市社会福祉協議会では『コミュニティソーシャルワーカー』が、ひきこもりの当事者に活動費が支給される軽作業を紹介し、社会参加ができる仕組みをつくりました。専門的なスキルを持った人材の育成と配置を充実させるとともに、ひきこもりの当事者が社会とつながりを持てる居場所づくりを早急に進めなければなりません」

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