震災後、人の絆つなぐ魅力 岩手・大槌の鹿子踊

 東日本大震災の津波で被害に遭った岩手県大槌町で、住民を励ましてきた郷土芸能がある。祝い事や故人の供養のため、約400年間舞い継がれてきた「臼沢鹿子踊」だ。保存会の会長、東梅英夫さん(73)は「震災後、鹿子踊に人との絆など目に見えない魅力があると感じるようになった」と目を細める。

 震災から約1カ月、お笑い芸人らの慰問にみんなが大笑いしていた。東梅さんはそれを見て「鹿子踊をやってもいいのでは」との思いに駆られた。

 一方で「こんなときに何やってんだ」と言われる怖さを拭えずにいたが、約20人の仲間と避難所で鹿子踊を披露。それを多くの人が涙を流したり手をたたいたりして、食い入るように見てくれた。「おめえも俺も同じ気持ちだ」。隠していた感情を出せたという一体感があったと振り返る。

 その後、活動の場が広がり、昨年は長野県や岐阜県でも演舞した。東梅さんは「鹿子踊を町民の心のよりどころにしたい」と力を込める。

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