池袋事故、87歳元官僚は“上級国民”だから逮捕されない?

 東京・池袋で19日、乗用車が暴走し、母子2人が死亡、男女8人が重軽傷を負った事故。車を運転していた旧通産省工業技術院の飯塚幸三元院長(87)の身柄を警視庁が拘束していないことについてネット上で批判が出ている。元キャリア官僚という経歴に配慮したもので、「“上級国民”だから逮捕されない」というのだが、本当か。

 ドライブレコーダーの記録には、飯塚元院長が事故直前に「ああどうしたんだろう」と漏らす声が記録されていた。事故後には息子に「アクセルが戻らなくて、人をいっぱいひいた」と電話をかけていたという。飯塚元院長と、同乗の80代の妻はいずれも骨折した。

 飯塚元院長は2017年の免許更新時に受けた認知機能検査で、記憶力や判断力に問題はないと判定されていたという。警視庁は加齢などに伴う運動能力の低下が影響し、運転操作を誤った可能性があるとみて調べている。

 21日に神戸市営バスがJR三ノ宮駅前の横断歩道に突っ込んで2人が死亡し6人が重軽傷を負った事故では、運転手の大野二巳雄容疑者(64)が自動車運転処罰法違反(過失致死)の疑いで現行犯逮捕された。

 一方、警視庁は飯塚元院長を逮捕していない。これについてネットでは、飯塚元院長の華やかな経歴から「上級国民」との表現が使われ、「上級国民なら罪に問われないのか」という批判が相次いだ。

 元警視庁刑事の吉川祐二氏は「前提として、飯塚元院長が容疑者であることに変わりはない。本人が骨折などのけがを負っていることや、精神的なダメージが残っている可能性もあることから、留置場に入れてしまうと予期せぬ事故につながりかねないと判断したのではないか。今後、回復を待って逮捕する可能性はある」と指摘する。

 「逮捕された場合も、勾留はされないのではないか」と話すのは弁護士の高橋裕樹氏。

 18年5月、神奈川県茅ケ崎市で90歳の無職女性が運転する乗用車が交差点で歩行者4人をはね、死傷させた事故では、神奈川県警が自動車運転処罰法違反(過失致死傷)容疑で女性を逮捕したが、横浜地裁が横浜地検の勾留請求を却下。女性は釈放され、任意の捜査に移行した。

 今回の事件が刑事裁判に発展した場合の展開について、前出の高橋氏は、「飯塚元院長が言うように乗用車に機能的な問題があったのか、もしくは自身の認知機能が低下していると知っていながら運転に踏み切ったのかなど、事故の原因が争点になるだろう。場合によっては高齢者でも実刑判決を受ける可能性はある」と解説する。

 2人の命が奪われた事実は重い。

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