動画違法公開、著作権侵害規制遅れ 続くいたちごっこ

 人気アニメの動画をインターネット上に違法に公開したとして、大阪府警が著作権法違反の疑いで、韓国籍で三重県四日市市の会社員、李駿衡(イ・ジュンヒョン)容疑者(29)を逮捕した。アニメや映画、漫画などを無断でインターネット上に公開し、著作権を侵害する事例は後を絶たない。今回の事件で使われたファイル共有ソフト以外にも、著作権侵害の手段は増加。警察当局による摘発といたちごっこの様相を呈しており、著作権者を保護するための規制強化の動きも出ている。

 警察庁によると、ネットを使った著作権法違反事件の摘発は平成30年の1年間で691件。前年の398件から大幅に増加した。背景には、動画投稿サイトや漫画の海賊版サイトなど著作権侵害の場が広がっている現状がある。

 京都府警は30年10月、放映元の許可なくテレビのプロ野球中継を動画投稿サイト「ユーチューブ」にリアルタイムで配信したとして、著作権法違反容疑でインターネット関連会社役員の男を逮捕。スポーツ中継を無断で生配信した容疑での立件は全国初だった。

 29年10月には大阪府警などが、人気漫画などを無断公開する海賊版サイトに利用者を誘導する「リーチサイト」の運営者らを、著作権法違反容疑で逮捕した。

 「金もうけだけでなく、ほかよりも早く、貴重な動画をアップすれば、ネット上で評価されるという動機も多い」。コンピューターソフトウエア著作権協会の担当者はこう指摘する。

 気軽な動機でも一度ネット上に海賊版が流出すれば著作権者の被害は甚大だ。同協会は著作権者らと協力し、動画投稿サイトの運営者に違法動画の公開をやめるよう働きかけている。

 ファイル共有ソフトは、個々のパソコン間でファイルを移行するというシステム上、動画投稿サイトなどに比べ、海賊版の広がりを抑えるのはより困難という。業界団体などは対策協議会を設立。違法利用者を特定し、ネット事業者にアカウントを停止してもらったり、著作権者らから損害賠償請求したりする手法を検討している。

 法改正も検討されている。現行の著作権法は、全ての違法著作物をアップロードすることを禁じている一方、違法と知りながら行うダウンロードについては、音楽と映像のみが対象になっている。

 政府は、ダウンロードの対象を漫画などを含む全ての著作物に拡大する改正案の提出を検討。結果的に、ネット利用者を萎縮させるなどの慎重な意見が出て、見送られたが、著作権保護のためにも規制強化すべきだという意見は根強い。

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