軽井沢バス事故3年「息子の死を無駄にしないで」

 大学生ら15人が死亡した平成28年1月の長野県軽井沢町のスキーバス転落事故は、15日で発生から3年を迎える。「子供たちの死を無駄にしないでほしい」「一緒に生きたかった」。遺族らは風化と戦いながら、抜本的な事故防止策の必要性を訴えている。

 首都大東京2年だった次男の寛(かん)さん=事故当時(19)=を失った大阪府吹田市の会社員、田原義則さん(53)は事故から3年を迎えるのを前に12日、寛さんが眠る実家の京都府舞鶴市の墓に参り、子供の頃から好物だったというイチゴや菓子を供えた。

 3年前の事故直前の正月は、実家で寛さんとゆっくり過ごした。大学生活のこと、社会福祉士になるという夢、事故に遭うことになるスキーに行くことも聞いていた。

 田原さんは今でも当時の息子との思い出を鮮明に覚えているが、事故の記憶が周囲で薄らいでいく風化を肌でひしひしと感じる。「3年たつとどうしてもね。少しでも早く(安全対策を)軌道に乗せてほしい」。墓前で手を合わせ、力を込めた。

 「子供たちの死を無駄にしたくない」。この3年、必死で歩んできた。なぜあのような場所で事故が起こったのか、二度とあんな事故を起こさない社会にしなければならない-。遺族会「1・15サクラソウの会」の代表として、国に意見をぶつけ、改善策を引き出してきた。

 悪質な事業者は目に見えて減り、一定の成果は生まれた。だが、事故は根絶できていないだけに「ひとつ間違えば事故はまた起きる」という思いがぬぐえない。運行会社「イーエスピー」(東京都羽村市)の社長や当時の運行管理者に対する長野地検の捜査は続いており、胸のつかえもおりていない。

 「これまでの捜査で、会社が安全管理を怠ったことが事故の一因になったことが明らかになった。事故から3年を迎え、裁判で早く明確に決着をつけてほしいという気持ちは強くなっている」と田原さん。法人の責任を問う組織罰などの導入に加え、事故防止に向けた規制と監査の強化を訴えており、「どんなバスに乗っても、安全な運行をユーザーに届けられる業界であってほしい」と話した。

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