突然「出ていって」 大阪北部地震で借家トラブル

 今年6月に発生した大阪北部地震で、被災した借家をめぐるトラブルがくすぶっている。借家の住人を支援する団体によると、被災した住宅の修繕に多額の費用がかかるため家主が修繕を拒むほか、住人に立ち退きを迫るケースもあるという。地震は発生から半年が経過したが、被災地はいまだ課題が残る。弁護士らでつくる支援団体は「借家を修繕するのは家主の責任。退去を強要してはいけない」としている。(矢田幸己)

■突然「出ていって」

 「地震の翌日、管理会社から『7月末で出ていってくれ』と。訳が分からなかった」。こう話すのは大阪府茨木市に住む男性会社員(55)。軽度の認知症を患う母親(82)と実家で暮らしている。

 実家は借家。地震の影響で北側と西側の外壁に大きな亀裂が入り、市の調査で一部損壊と判定された。外壁など地震で壊れた箇所に粘着テープを貼り付け、雨水が染み込まないようにしているが、住めなくはないと感じている。

 男性によると、7月中旬には、管理会社から「賃貸借契約終了のお知らせ」が届いた。今後大きな揺れが来れば倒壊の危険性がある一方で修復には多額の費用がかかるとし、8月末までに退去してほしいとの内容だった。

 近所には同じ会社が管理する民家が複数あり、地震の発生当時は男性一家以外に5世帯が入居していた。この5世帯も当初は家を引き払わないつもりだったというが、年明けまでの退去が決まったという。

 母親は「地震が来たら怖いけど、思い出もあるし、ここから出ていきたくない」と話す。男性も、住環境が変化することで母親の症状が悪化するかもしれないと思うと、退去には応じたくないと考えている。

 しかし最近は「納得できる転居先があれば」と思うこともあり、管理会社に転居先候補を挙げるよう依頼したという。

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