南海トラフ報告書、関西の自治体から賛否 企業も対策急ぐ

 「どう周知すればいいのか」「住民の理解が必要だ」-。未曽有の広域災害が想定される南海トラフ巨大地震に備え、政府の中央防災会議は11日、新たな住民の避難対策を打ち出した。震源域の半分で巨大地震が起きる「半割れケース」の場合でも、残り半分の沿岸住民を1週間程度、一斉避難させるとした。南海トラフと向かい合う沿岸自治体などからは、評価する意見が上がった一方、困惑の声も。企業も減災への取り組みを急ぐ。

 南海トラフ巨大地震で、最大34メートルの津波が想定される高知県黒潮町。今年1月、町役場を津波被害が想定されない高台へ移転するなどの対策を始めた。

 同町の担当者は「たとえ半割れケースでも、町に大津波警報などが出る可能性が想定されるため、一斉避難は基本的な対応だと考える」と前向きに受け止める。ただ、警報解除後にどれほどの住民が避難所に残るのかは「現時点で予想できない」とし、こうした把握が今後の課題になるとの認識を示した。

 「(半割れケースで)地震の揺れを感じない中で、危険性を理解して避難する市民が実際どれだけいるのか」と心配するのは、和歌山県御坊市の担当者。中央防災会議は地震後の警戒期間を1週間程度としており、「備蓄や避難所の運営体制も検討が必要だ」と指摘する。また、和歌山県の担当者も「避難の必要性について、県民の理解を得る取り組みが必要」と課題を挙げた。

 南海トラフ巨大地震では、中部や関西の企業も被害が想定され、対応が求められている。

 名古屋駅近くのジェイアール名古屋高島屋は、大規模地震の際には来店客らの安全な帰宅を支援するとし、「政府の報告書の内容を精査し、必要な対策を進めていきたい」と説明する。JR東海は、巨大地震の際に新幹線を速やかに緊急停止するため、太平洋海底の地震データを生かす仕組みを来年4月に導入する。南海トラフの場合、従来の遠方地震計と比べて最大15秒早く検知できるという。

 JR西日本の担当者は「南海トラフなど大型の地震や津波を想定した訓練や教育は実施している」と説明し、必要があれば対策を検討するとした。

アクセスランキング

もっと見る

ピックアップ