乳幼児揺さぶられ症候群の〝根拠〟は本当か 「虐待」判断、司法で二分

 児童虐待の特徴的な症状とされる「乳幼児揺さぶられ症候群(SBS)」を疑問視する声があがり、議論が持ち上がっている。大阪の弁護士や大学教授が、SBSと虐待を直結させる理論の検証プロジェクトを立ち上げ、刑事事件の公判では「日常の事故でも重い頭部外傷は生じる」と全面的に無罪を主張。“通説”に疑問を投げかけている。最近の公判では虐待を認めずに無罪としたケースもあり、今後の司法判断が注目されている。

米で無罪相次ぐ

 「SBS理論への根本的な議論が必要だ」

 今年3月、生後1カ月だった長女を揺さぶるなどして重傷を負わせたとして、大阪地裁が母親(37)に有罪判決を言い渡した事件。虐待を否定して無罪を主張していた弁護人は公判後に記者会見を開き、理論の見直しを強く求めた。弁護人は、大阪を中心とする各地の弁護士や大学教授が昨年9月に立ち上げた「SBS検証プロジェクト」のメンバーだ。

 同プロジェクトは、SBSの根拠とされる硬膜下血腫(こうまくかけっしゅ)、脳浮腫(のうふしゅ)、網膜出血(もうまくしゅっけつ)の3徴候(ちょうこう)について「低い場所から落下する日常の事故でも生じる」などと疑問視。SBSを中心とする乳幼児への頭部暴行を検証した結果、SBSの基礎となった海外の研究は、前提となる実験のデータが不十分だったなどとして正当性が見直されつつあるという。

 同プロジェクトによると、スウェーデンで2014年に最高裁がSBSの科学的根拠が不十分として無罪判決を言い渡したほか、同国政府機関も同様の報告書をまとめた。アメリカでも虐待事件での無罪判決が相次いでいると指摘する。

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