腐った遺体、大量のハエ、ゴミ屋敷…「特殊清掃」の現場を見た

 マンションに到着し、女性の部屋のあるフロアに足を踏み入れると、まだ廊下なのに強い臭いが鼻をついた。スタッフたちは玄関前に立ち、手を合わせて深々と一礼した。ドアを開けて入室すると手早く手袋、ゴーグル、マスクを装着し、フード付の白い防護服に身を包んだ。亡くなった人が生前、どんな病気にかかっていたか分からない。感染症予防の対策だった。

 遺体が見つかったのは浴室。室内に殺菌・消毒薬や殺虫剤を散布してから浴槽の清掃にとりかかる。遺体はすでに運び出されているが、浸かっていた風呂の水はそのままだった。

 スタッフらが電動ポンプで水をバケツにくみ上げていく。そのまま排水すればいいのにと思ったが、水回りの配管にまで臭いが残ってしまうのだという。

 浴槽が空になると、特殊な薬剤を使って洗浄し、丹念に磨き上げていく。黒ずんでいた浴槽は見違えるような白さを取り戻したが、さらにその上から薬剤を散布するなど、入念な作業が続いた。

 リビングは古新聞が散乱し、カレンダーは10年前のものがそのまま張り付けてあった。ブラウン管型のテレビはほこりをかぶったまま放置され、置き時計の針は動いていなかった。この部屋だけ、時間が止まってしまったかのようだ。

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