「自殺したい」精神を病み、夜の世界へ…養護施設出身者に目立つ性被害

 坪井さんは「親の愛情に飢えた子供たちは、性風俗にかかわる中で、自分を必要とする相手を探し求めている。しかし、結局は裏切られ、ますます自虐的になっていく」と実情を明かす。

自分の存在意義

 東京都小金井市の児童養護施設退所者のアフターケア相談所「ゆずりは」の所長、高橋亜美さんも、幼い頃に家庭で虐待などに遭って児童養護施設などで生活し、18歳で施設を出た後に性風俗業を「就職先」に選ぶ女性たちを数多く見てきた。

 高橋さんは「性風俗は楽にお金が稼げるといった風潮が世間にはある。しかし、私が出会った女性にそういうケースは皆無だった。保証人や初期費用がなくても住居を提供してくれ、すぐにお金が得られる。寂しい心が紛れたり、自分の存在意義を見いだしたりするために風俗で働く。風俗で働かなかったら死んでいたかもしれない女性もいた」と話す。

 ただでさえ施設出身者はトラウマを抱え、親や家族を一切頼れない。低学歴というハンディを背負い、社会に出る。施設出身者が安定した職に就ける率は極めて低いのが実情だ。

 高橋さんは、施設で育った女性たちが施設退所後、安定した職に就ける仕組みの創設を訴える。(清水麻子が担当しました)

生活保護に陥るケースも

 「夜の世界」をやめたい女性たちへの支援を行う一般社団法人「GrowAsPeople」(埼玉県越谷市)代表、角間惇一郎さん(30)は「性風俗では40歳の壁にぶつかると給与は激減。キャリアも社会保障もなく、失業もある」と業界の実情を話す。 角間さんは、女性たちに事務所などでインターンとして働いてもらいながら、さまざまな仕事へのやりがいを感じてもらっている。しかし、夜の仕事以外の職業に就ける人は限られ、精神を病んだり、生活保護を受給しながら生きざるをえなかったりする悲しいケースも起きている。 大人たちの誘惑にひきずられ、暗闇をさまよう子供たちの姿はさまざまな課題を突き付けている。

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