被害総額25億円の金庫破りはオールド窃盗団の実話 映画「キング・オブ・シーヴス」

【エンタなう】

 つかまるだろうなと分かっていても、金庫破りの捕り物劇は、つい悪者に肩入れしてしまう。映画「キング・オブ・シーヴス」(公開中)は、2015年にロンドンの宝飾店街の貸金庫で25億円相当の宝石類が“泥棒王(キング・オブ・シーヴス)”に荒らされた実際の事件がベース。平均年齢60歳以上の窃盗団には熟練の技と哀愁が漂う。

 実行部隊や共犯ら7人もの窃盗団は、マイケル・ケイン演じる77歳のリーダー、ブライアンをはじめ英国屈指の名優ばかり。ワルぶりに磨きがかかっている。名うての工具使いや侵入に長けた“前科もの”たちは動きにキレを欠き、犯行中にインスリン注射をする有様だが、昔取った杵柄(きねづか)の手口は実に鮮やか。

 計画は成功するが、物語後半の分け前をめぐる内輪もめと仲間同士の騙し合いこそが見せ場。肩入れして見ていた男たちの素顔は浅ましく滑稽で、どうしようもなく性根が腐っている。そのほころびを突いて、ぐいぐい狭められていく捜査網を静かに演じる警察側の冷徹さが対照的だ。

 「ボクサーと同じで、足が動かなくなったらこの稼業も潮時」とつぶやくブライアン。随所に出てくる“シニアあるある”ネタに涙。そして、この窃盗話を最初に持ちかけた唯一の若手メンバー、バジル(チャーリー・コックス)の一見、弱気で狡猾な働きぶりに、それぞれの職場での世代交代を重ね合わせる人もいるかもしれない。 (中本裕己)

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