成島監督の病克服を後押し「自身は予期せぬ急逝」 命がけの『いのちの停車場』

【映画に生きた男 岡田裕介という異才】

 成島出(いずる)監督の『ふしぎな岬の物語』(2014年)は、岡田裕介プロデューサーと吉永小百合にモントリオール世界映画祭審査員特別賞グランプリをもたらした。岡田氏はさっそく成島監督と吉永の次回作を企画するが、17年、成島監督が肺がんと診断された。1年以上の闘病生活を余儀なくされた成島監督に岡田氏はたびたび見舞いの品を届け、「待ってるから、早く戻ってこい!」と励ました。吉永も成島監督のためにがん封じの祈願に詣でた。吉永の手紙とともにお守りを受け取った成島監督は泣いた。そして、岡田氏と吉永のためにもう一度現場に立とうと誓い、病を克服した。

 『いのちの停車場』(21年公開予定)は成島監督には打って付けの企画だった。南杏子氏の原作は「在宅医療」の物語で、人間の生と死と尊厳を扱っていたからだ。

 だが撮影は困難をきわめた。コロナ禍でクランクインが遅れ、その後も竹内結子が自殺し、広瀬すずがコロナに罹った。加えて伊勢谷友介が薬物事件で逮捕された。しかし、岡田氏は頑として「作品に罪はない」と言い、伊勢谷のシーンをカットしないことを毅然(きぜん)と表明した。通常の作品の倍以上もストレスがたまる現場ながら、岡田氏は今まで以上に肩入れし、撮影の合間には得意の“おやじギャグ”を飛ばして、キャストやスタッフを和ませた。岡田氏は常々「吉永さんと仕事すると緊張して、撮影中に一度は倒れるんだよね」と語っていたが、今回は元気に吉永を撮影終了まで見守った。

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