中国でも鬼滅人気 取り残された“古参”アニメオタクの抵抗

 ◆「御宅族」と呼ばれていた中国の日本アニメオタク

 「ちょっと面白いのは、中国のオタクの中には、鬼滅人気に戸惑っている人が結構いるんですよね」(八子氏)。

 なるほど、レビューサイトを見ると、「浮世絵みたいできれい」「主人公が素直でいい」といった称賛のコメントと並んで、「深みがない」「再生回数が多いのは小学生が見ているから」「『進撃の巨人』や『エヴァンゲリオン』などの名作と比べたらレベルが低い」といった批判も並んでいる。

 「『中国人は日本アニメ好き』というイメージがあると思うんですけど、実は世代によって違います」(八子氏)

 1990年代までは、『鉄腕アトム』や『ドラえもん』、『北斗の拳』、『聖闘士星矢』、『SLAM DUNK』など、日本の人気アニメが中国でテレビ放送されていたので、この時代に幼少期を過ごした中年世代にとって日本アニメは共通の記憶だ。しかしその後、中国の国産アニメ振興策で日本アニメはテレビから姿を消し、ファンの数も減っていく。状況が変わったのは、インターネット配信で日本アニメを楽しむ若者たちが増えてきた2010年代だった。

 日本アニメのテレビ放送がなく、かといってインターネットもあまり便利ではなかったこの“空白の世代”こそが中国の日本アニメのコアなオタク層なのだとか。テレビ放送もないのに日本アニメにハマった少数精鋭のオタクたちは、終わりなき戦いを繰り広げるメジャーなバトルアニメよりも、マイナーな深夜アニメこそが“高尚”と見なしていた。

 ところが時代が変わり、ネット配信に伴う新たな世代の視聴者が入ってくると、中国で人気を集める主流アニメの傾向が変わってしまう。取り残された古き中国オタクたちの精一杯の抵抗が、前述のような批判コメントに込められていたというわけだ。

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