NHK改革「受信料制度」に偏り 公共放送の役割論、乏しく

 NHKの前田晃伸(まえだ・てるのぶ)会長が就任して、最初の1年が間もなく終わろうとしている。受信料制度などに関し次々と打ち出された方針は「拙速」なのか、評価されるべき「スピード感」なのか。いずれにしても、現代における公共放送の役割や適正な規模感について整理するという本質的な議論は乏しく、受信料徴収方法の改変など「国民負担はそのまま、あるいは増加」の議論が先行しているのが現状だ。(森本昌彦)

 「(NHKについて議論する総務省有識者検討会分科会に)いろいろ難しいお願いをして、『すべていいよ』ということではなかったが、われわれの熱意は理解いただけたと思う」

 今年最後となる3日の定例記者会見で、前田会長はこう述べた。

 元みずほフィナンシャルグループ社長だった前田会長が就任したのは今年1月。NHKはこの新体制下でさまざまな動きを見せてきた。

 中でも目立ったのは、受信料の効率的徴収につながる“強硬策”だ。10月の分科会で、テレビ設置届け出義務化や、それに応じない未契約者の氏名を公的機関に照会できる制度を可能にする放送法改正を要望した。総務省の関係者は、「テレビの設置届け出義務化は、例えば受信料支払い義務化を放送法に盛り込むことに比べれば義務づけの範囲が狭い、つまりハードルが低いとNHKは考えたのではないか」と解説する。

 仮にそうだとしても、現状に比べれば義務の範囲が大きく広がるのは明らかだ。NHKの求めに対して、分科会の出席者だけでなく世論の反発も大きく、導入は見送られることに。

 ただ、未契約のテレビ設置者に絞って届け出を促すことそれ自体は、支払率向上の観点から「一定の意義がある」と記し、NHKの主張にも配慮した形となっている。

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