二階堂ふみの美乳に手塚治虫のイメージが変わる? 人間の闇の部分を描く退廃芸術の神髄 20日公開『ばるぼら』

 手塚治虫作品でも特に異色の作品が、青年コミック誌『ビッグコミック』で1973年7月から翌年5月まで連載された『ばるぼら』だ。それがなんと映画化され、20日から公開される。生誕90年の記念作品として、実の息子が初めて手掛けた問題作となった。

 監督は手塚治虫の息子でもある手塚眞。そして撮影監督は、ウォン・カーウァイ監督の映像美で知られるクリストファー・ドイルが務めていることも驚きだ。

 あれは幻想だったのか-。売れっ子小説家の美倉洋介(稲垣吾郎)は新宿駅のガード下で酔いつぶれている浮浪者のような若い女になぜかひかれて、連れて帰る。自称「ばるぼら」という女(二階堂ふみ)は、ずばずばと美倉の心の闇を言い当て、スランプだった創作に影響を与え、いつかミューズのような存在になっていた。

 美倉は異常性欲のせいで幻覚に陥るが、救ってくれるのはいつもばるぼらだった。ばるぼらなしでは生きていけなくなっていた美倉は大物政治家の娘だった婚約者まで捨て、幻覚と狂気の迷宮に陥ってゆく…。

 手塚治虫ファンの子供には見せられない映画だが、大人にとってはまるで横溝正史か江戸川乱歩を思わせるようなダークでファンタスティックなエロスの世界が描かれる。

 ましてや稲垣吾郎とからむ二階堂ふみの美乳まで見せられては、手塚治虫のイメージがまったく変わるのは否めない。

 これを禁断の問題作といっては間違いか。日本、ドイツ、イギリスからスタッフを集めて愛と苦悩に満ちた文学作品を作り上げた。美倉のモデルは手塚自身ではないかといわれている。

 この映画はむしろ手塚治虫が本当に書きたかった人間の欲望であり、闇の部分だ。それをフランスの詩人ヴェルレーヌの詩をからませ、退廃的な芸術のなんたるかを描いてみせたといっても過言ではない。手塚治虫恐るべしだ。(望月苑巳)

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