渡辺真知子の新アルバム 1人で140回も多重録音 名曲復活

 ベテランのシンガー・ソングライター、渡辺真知子(63)が新作アルバム「明日へ」を出した。化粧品のテレビCMで使われ大ヒットした「唇よ、熱く君を語れ」(昭和55年)を録音し直しているが、1人で歌とコーラスを担当し、140回も録音を重ねたのが話題だ。

 「予定外に追加で録音を決めたのでアルバム制作の予算が残っておらず、仕方なく1人で録音しました」

 笑って説明する。今年初め、同じ化粧品メーカーが40年ぶりにこの歌をCMに起用。若手歌手のカバーだったが、女性を躍動的に描いた映像やコーラスを用いた編曲に感激し、刺激を受け、急遽(きゅうきょ)自ら歌い直した。11時間で一気に録音したが、作業はコロナ禍が広がり始めていた頃で、人員、時間を極力減らしたいという理由もあった。

 52年に「迷い道」でデビュー。シンガー・ソングライターがテレビを嫌っていた時代に歌番組で積極的に歌った。「かもめが翔(と)んだ日」などヒットを飛ばしたが、テレビに顔を出す回数は減った。

 「悩んだが、時代や音楽の流行そのものが変わったのだと気づいた。音楽のエキスパートになるために私がやるべきことは、まだあるはずだ」

 すると、ジャズの高橋達也や前田憲男、あるいはラテン音楽の赤木りえらから次々と声がかかった。より広い音楽の世界での“武者修行”を積み重ねてきた。

 「私の歌を望んでくださる方がいた。それでここまでこられた」

 運命に逆らわず。身を任せ、歌い続けている。新作の題名通り「明日へ」の思いを込めて、11月1日に東京国際フォーラム・ホールCで公演を予定している。(石井健、写真も)

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