「乾いて候」 キスマークをチュッチュッ…前代未聞の唇紋

【小池一夫「名作伝説」】

 作品作りにおいて、常に「キャラクター」を重要視していた小池一夫作品でも特に強烈なのが「乾いて候」。主人公は時代劇界のおきて破り男、腕下主丞(かいなげもんど)様! ドラマでは田村正和が演じていた。

 将軍家お毒味口役の主丞。外見は「長身にして色白、女と見まごうばかりの美形」。実は八代将軍徳川吉宗の隠し子にして、どんな毒にも毒されないスーパー耐性体質なのである。では、どうやって毒耐性体質に? そこには悲しい母の物語が…。吉宗に捨てられた主丞の母は一度は毒を飲んで乳飲み子の主丞とともに死のうとしたが、ギリギリで思いとどまり、「この子を吉宗様の毒味役に育てよう」と決心する。なんと母上は自分の乳首にありとあらゆる毒を塗り、赤子の主丞を育てたのだ。母を演じたのは泉じゅん。美しい…。

 おきて破りその1は、とにかく派手ないでたち。なにしろ、第1話が始まって15分の間に3回も命を狙われる主丞。歩いても敵、座っても敵、寝転んでも敵、敵、敵! そんなに危ない日々なのに、白い着流しに真っ赤なじゅばんという夜目にも鮮やかな目立ちすぎる姿。さすがだ。

 おきて破りその2は女性関係。城に乗り込んだ主丞がまず向かったのが、男子禁制の大奥! そして、言い放ったのが「われの仕事はふたつ。上様が口にするものの毒味、あとひとつは女子の毒味」。大奥侵入を阻止しようとした美人お中臈(ちゅうろう)をお毒味宣言。彼女の前で刀を抜く。もちろん城内での抜刀はご法度だ。

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