西のサムライ・山像信夫さんの口癖は「理屈よりロマン」

【テレビ黎明期支えた 巨星こぼれ話】

 日本のテレビ黎明期を取材すると、よく耳にするのが「昔は各局にサムライがいた」という話。

 たとえばNHKなら和田勉さん。後に「芸術祭賞男」とも言われた名物ディレクターである。そのはじめの一歩ともいえるドラマ「石の庭」(1957年)に主演したのが、今年96歳で亡くなった久米明さんだ。

 物語はNHK大阪局の一番大きなスタジオに造られた室町時代の龍安寺の石庭を中心に進む。現在、NHKのアーカイブに残る映像(当然モノクロ)を見ても、庭石が作り物とは見えない。精巧な美術に久米さんも感心したという。

 その後、北大路欣也主演の大河ドラマ「竜馬がゆく」の演出などを手がける。退局後、タレントに転向すると、豪快な笑い声から「ガハハおじさん」とも呼ばれたが、当時から笑い声で居場所が分かったそうだ。

 白いスーツで出社し、マンガばかり読みながら劇画タッチの時代劇「三匹の侍」をヒットさせたのはフジテレビの五社英雄さん。ジャズマンらしい音楽センスと大人の遊び心を生かし、「シャボン玉ホリデー」や「11PM」を作った日本テレビの井原高忠さん。竜雷太、松田優作、中村雅俊らを見いだした日本テレビ青春ドラマの名プロデューサー岡田晋吉さん。「時間ですよ」で悠木千帆・堺正章らのアドリブの面白さを追求し、著名脚本家とたもとを分かつことになったTBSの久世光彦さんなど個性的なクリエイターの逸話は、多くのテレビマンに語り継がれる。

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