四人囃子・岡井大二 ジャパニーズロックの金字塔!衝撃を与えたアルバム「一触即発」

 【ぴいぷる】

 今からちょうど46年前の1974年6月25日、四人囃子はデビューアルバム「一触即発」で日本のロック史に確かな楔を打ち込んだ。

 物語は、ドラムの岡井と、ギター&ボーカルの森園勝敏が高校時代に知り合ったことから始まった。ベースの中村真一を加えた“ザ・サンニン”として活動を開始。キーボードの坂下秀実が参加したのち、改名したのは71年のことだ。

 「4人になってから大学祭に行ったときだったかな、バンド名を聞かれて、サンニンではおかしいだろうって思って。安易な発想から僕が四人囃子とつけてしまった。デビューするときには別のカッコいい名前にしたかったけど、思い浮かばなくて。それが半世紀近くも残っているんですね」

 3年後の74年にリリースされたジャパニーズ・ロックの最高峰となる作品は、末松康生の独創的な日本語を乗せて、プログレ、ハード、サイケ、ブルース…。様々なエッセンスが詰め込まれたサウンドは従来のフィールドを超えて、洋楽ファンにも歓迎された。

 「音楽性は、特にジャンルにはとらわれていなかった。よく“プログレですね”とか言われるけど、プログレファンが集まったバンドという認識はないんです。たとえば森園はブルースが好きだったし、それぞれが別の興味でプログレを聴いていた。4人とも好きで共通していたのは、ビートルズくらいでしたね」

 前年の73年に発表された洋楽といえば、ピンク・フロイド「狂気」、プロコル・ハルム「グランド・ホテル」、ジェスロ・タル「パッション・プレイ」、ローリング・ストーンズ「山羊の頭のスープ」、レッド・ツェッペリン「聖なる館」、キング・クリムゾン「太陽と戦慄」、マイク・オールドフィールド「チューブラー・ベルズ」など、とてつもない時代。

 「メンバーが好きだったのはピンク・フロイドとか、ジェスロ・タルとか、いわゆる王道のプログレバンドではなかったですね。まあ、当時は言ってみれば、洋楽ファンからみたヨーロッパのロックはみんなプログレ。ヨーロッパのバンドはアメリカからの影響と、自国のアイデンティティーでオリジナリティーを構築していき、好きなように音楽を創造していた。その筆頭がビートルズ。今思えば『一触即発』も、69年にリリースされたビートルズの『アビイ・ロード』から5年しか経っていなかったんです」

 世界中で自由な発想に培われた新たな音が生み出されていくなか、化学反応は起こった。

 「あの時代の息吹のなかで、自分たちが日本という土壌のうえで好きなように音楽を構築していったら『一触即発』になった。それをわかってくれたみなさんが支持してくれたのかな。天才的な末松さんの詩と、森園も天才だった。2人の組み合わせが作品のスタートというか原点でしょう」

 森園は76年のセカンド「ゴールデン・ピクニックス」発表後に脱退。ギターを佐藤満に代え、バンドは続行した。79年にいったん活動を停止したものの10年後には復活、ライブでは森園も戻ってきた。二代目ベーシストの佐久間正英が2014年に亡くなってしまった今は完全な形での復活は望めないが、フォロワーは増え続けている。

 「とてもありがたい」再発プロジェクトも昨秋から立ち上がった。「一触即発~DXエディション」を皮切りに、サントラの「二十歳の原点」、「一触即発」(DXと別マスタリング)、ライブ盤「’73四人囃子」が発売済み。今後もレーベルの枠を超え「ゴールデン・ピクニックス」「PRINTED JELLY」「包(b?o)」「NEO-N」「DANCE」と全アルバムがプランニングされている。

 「オリジナル・マスターテープからCDに起こすのは、今回が初めて。最も古いアナログから最新のハイクォリティへ、マスタリングに立ち合わせてもらいました。僕も66歳。正式なメンバーがCDの作成に携われるのは、これがラストになるかもしれませんね」

 残念ながら今春予定されていたライブはコロナの影響で来春に延期されてしまったが、スターダスト☆レビューの根本要(Vo&G)、元ハウンドドックの西山毅(G)のサポートを受けた、岡井と坂下の“スピンオフ”四人囃子もしっかり稼働している。

 「スピンオフは、アマチュア時代に四人囃子をコピーしていたり、ずっと好きでいてくれた後輩たちが、『一緒にやりましょう』とトリビュートの気持ちで誘ってくれてのこと。だから、躊躇することなく取り組むことができる。再発と合わせた一連のプロジェクトは来年に続いていきます。本当にありがたい後輩たちと、70年代当時から僕らを知っていて支持し続けてくれているスタッフのおかげで、今が成り立っています」

 「一触即発」の衝撃は語り継がれ、四人囃子は空飛ぶ円盤に乗って旅を続けていく。(ペン・秋谷哲/カメラ・萩原悠久人)

 ■岡井大二(おかい・だいじ) 1953年7月8日生まれの66歳。東京都出身。ロック・ドラマー、プロデューサー。69年に都立鷺宮高校で森園勝敏と出会い、中村真一と“ザ・サンニン”を結成。坂下秀実が加わった71年に四人囃子となり、高校生ながら東大五月祭などに出演。73年に映画「ある青春~二十歳の原点」のサントラをリリース、74年「一触即発」でバンドとしてアルバムデビューした。バンドは79年に休止したが、89年に復活し、断片的に活動。プロデューサーとしては90年代半ばにL⇔Rが大ブレークした。現在もライブに出演。今春開催予定だった坂下との“スピンオフ”四人囃子は、2021年春(東京=3月3日、大阪=3月10日)に延期された。

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