さまざまな規模、スタイルがある「ライブハウス」 全てを危険視するのは…

 【織田哲郎 あれからこれから Vol.70】

 やっと諸々の自粛規制が段階的に解除になるようですね。

 ただ、国や都のロードマップを見ると、ライブハウスというものがひとくくりに危険な扱いになっていることに違和感を覚えます。ライブハウスに行ったことがある方もまったく縁のなかった方もいらっしゃると思いますが、一言でライブハウスと言っても、実はとてもバラエティーに富んでいます。

 規模でいうと何十人から何千人まで、さらにスタンディングで盛り上がるタイプからしみじみと着席して聴くタイプまで、さまざまなスタイルがあります。これらがまとめて『ライブハウス』というくくりで危険視されるというのはどうなんでしょうか。

 最近、大人世代のエンターテインメントの形として、食事やお酒とともに音楽を生で楽しもうというタイプのお店が増えてきました。こういうお店では、皆ゆったりと着席してライブを楽しんでいます。かつてはホテルのディナーショーくらいでしかなかったスタイルを、もっと日常的に気楽に楽しめるといった感じです。そんなタイプのお店もすべてひとくくりにライブハウスと呼ばれて危険視されているようです。

 全国のライブハウスは、コロナウイルスへの感染対策をいろいろと講じながら前に進もうとしても、なかなか周囲の目が厳しく、思うように営業できない状態です。

 エンターテインメント産業、そして音楽というものは、いつの世も人々の希望をつなぐ大事な産業だと思うのです。音楽産業の大きな花が、たとえば大ヒット曲や大スターだとしても、その根っこは各地のライブハウスにあると思うのです。

 生で音楽を聴く感動に触れ、あるいは生で演奏する喜びを知る大切な場です。根っこがあるから花が咲くわけです。

 まだまだ新型コロナに対する不安は消えないと思いますが、ライブハウスと一言で片付けてすべてを危険視せず、徐々に再開に向けてみんなで温かく見守ってもらえたらと思うのです。

 ただ、密着してスタンディングで盛り上がるというタイプの音楽は、しばらくしんどい状況が世界的に続くのかもしれません。

 各地のフェスも今年は全滅の可能性が大です。もしかすると、それによって音楽のトレンドにも変化があるかもしれません。

 人々が集まって盛り上がってみんなで踊って楽しむというのは音楽の重要な側面ですが、それができない状況が続くとなると、アーティストが曲を作るにあたって、一人一人に届けるというスタンスが重視されていく気がします。

 そうなると、しばらくはしみじみとした曲が多くなっていくのかもしれませんね。

■織田哲郎(おだ・てつろう) シンガーソングライター、作曲家、プロデューサー。1958年3月11日生まれ。東京都出身。79年のデビュー当初からCMやアーティストの音楽制作に携わる。TUBEの『シーズン・イン・ザ・サン』で作曲家として注目される。現在「オダテツ3分トーキング」をYouTubeで配信中(毎週土曜日更新)。

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