50年の時を経て神話はどんどん増殖 CSN&Y・ナッシュ「100年たっても人々はウッドストックのことを話すだろう」

伝説のライブから50年 ウッドストック光と影

 伝説のウッドストックから50年。その光と影を、あのとき、あの場所で生体験したロックライター、室矢憲治氏がひもといていく。

                   

 「今から100年たっても、人々はウッドストックのことを話しているだろう。そいつは間違いないね。ただし、この地球がまだ残っていればの話だけどさ」

 あのとき素晴らしいハーモニーで50万人の聴衆をハイにしたCSN&Yのグラハム・ナッシュは変わらぬ笑顔でそう言うと、僕にウインクした。

 なに、ウッドストック? 『ピーナッツ』のあのキャラ? そんな方たちのために説明しよう。ウッドストックとは1969年8月15~17日、ニューヨーク州の田舎町ベセルの農場で開催されたライブ。40万~50万人の若者が集まり、大渋滞、悪天候や食料不足といったアクシデントはあったが、暴力沙汰は皆無。ジミ・ヘンドリックスやジャニス・ジョプリンら人気ミュージシャン32組の演奏を楽しんだ“愛と平和の3日間”だ。

 翌70年にドキュメンタリー映画とサントラ盤が世界中で大ヒット。ヒッピー、カウンターカルチャー世代と呼ばれた若者を活気づけ、反戦の声を高める一方、ロック音楽は金になる、音楽界ではマネーゲームがブースト。世界各地でフェスティバルブームを巻き起こし、イギリスのグラストンベリー、アメリカのロラパルーザ、日本のフジ・ロックを産み出すきっかけとなった神話的大イベントなのだ。

 「ウッドストック神話は増殖し、もうどこまでが本当で、どこからがフィクションか、わからなくなっているんだよ」とナッシュ。余裕の発言はCSN&Yがビートルズに代わり、世界の人気トップ・グループとなり、イーグルスにつながるウエストコースト・サウンドを大流行させたせいもあるのだろう。

 だが、50周年を記念してリリースされた10枚組ボックスセットで、フェスのオリジナル音源が公開されたから、さあ大変。あの映画やサントラ盤から流れてきた演奏は実は加工修正が施されていたのだ!

 当時の多くのファンの期待を裏切って出演しなかったのに「あの時はひどい雨でみんな泥だらけだったよな」とボブ・ディランはさも出演したかのように語っている。あれからのウッドストック狂騒劇を振り返ろう。

 ■室矢憲治(むろや・けんじ) 東京生まれ、ニューヨーク育ち。『67~69 ロックとカウンターカルチャー激動の3年間/サマー・オブ・ラブからウッドストックまで』(河出書房新社)が電子版ともに発売中。16日(金)、新宿タワーレコードでウッドストック50周年記念トークイベントを開催。

                   

 50周年を記念する10枚組CDセット『WOODSTOCK-BACK TO THE GARDEN-50TH ANNIVERSARY EXPERIENCE』(ワーナー・ミュージック)が発売中。ライヴ音源をアーティストの登場順に収録。当時のMCらの音声なども収められている。

 さらに全楽曲を完全収録した38枚組CDセットも発売された。

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