宮迫博之が守ろうとしたものとは? 佐々木正洋氏が読み解く「会見で答えられなかった質問」の答え

 終わりの見えない芸人による闇営業問題。雨上がり決死隊の宮迫博之(49)が先月20日の会見でみせた表情から、そこに潜む真意を、長年、芸能取材に携わってきた元テレビ朝日アナウンサーのコラムニスト、佐々木正洋氏(65)が読み解いた。

                  

 「これから守っていきたいものは何ですか?」

 「それは…、家族だというのはありますが…」

 2時間半にも及ぶ宮迫博之さんと田村亮さんの謝罪会見で、宮迫さんが初めて言葉に詰まっていました。もちろん、それまでも言葉を選んで慎重に答えていましたが、その質問だけは明確な答えは出てきませんでした。

 記者は「良心」や「コンプライアンス」といった言葉を期待していたのかもしれません。ただ誤解を恐れずに言えば、そう答えなくて良かったんです。それは、芸人だから、です。

 芸人が優先するものは何でしょうか? ビートたけしさんが番組で言っていました。「芸人は面白いことをやっていればいいんだよ、組織がどうのとか、会社がどうのとかいうのはいいんじゃねえの」と。宮迫さんの場合はきっとプロしか見せられない圧倒的な「笑い」です。できるなら「済みません、もらっちゃいました」と言い切ってほしかったですね。

 今、ワイドショーを見ていると、お笑い芸人やタレントが社会のモラルや良識、常識を毎日しゃべっています。

 しかし芸人は学校の先生でも警察官でも、ましてや神職でもありません。あの時、芸人の誰かに言ってほしかったですね。「さすが宮迫さん、僕なんか『済みません、あれはウソです、本当は100万円なんかもらっていません、10万円でした、大喜びしました』としか言えません」と。それでその芸人が袋叩きにあう、というのが見たかったですね。

 将来シンギュラリティを迎え、本格的なAI社会になるとほとんどの仕事をロボットがやってのけます。最後まで残る人間にできる商売は、おそらく広義に言って“アーティスト”です。

 それなのにこんな“正しい”ことしか許されない社会になれば、芸人もロボットができるようになっちゃいますね。これは僕のたわ言ですが、宮迫さんが一番ダメだったのは、その後の飲み会で全額宮迫さんが払ったのはさすがですが、お釣りを受けとったこと。

 芸人に一番大事にしてほしいのは“粋”だと今でも僕は思っています。…そんな時代じゃないんですよね。

 ■佐々木正洋(ささき・まさひろ) フリーアナウンサー、コラムニスト。1977年、テレビ朝日入社。昼のワイドショー「ワイド!スクランブル」の「夕刊キャッチアップ!」は16年間担当した名物コーナー。2012年3月退社し、現在、駒沢女子大で非常勤講師(身体文化論)を務めるほか、WEBマガジン「快活60」でコラムを執筆。またフジテレビ系「乃木坂46のザ・ドリームバイト!」に出演中。

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