アニメ原作がクール 「2・5次元」専用劇場が神戸に

 狙うは「第3のアキバ」-。神戸市中央区の新神戸オリエンタル劇場が4日、アニメやゲームが原作の舞台「2・5次元ミュージカル」の全国唯一の専用劇場に生まれ変わる。日本のアニメなどは「クールジャパン」として海外でも人気。神戸は訪日外国人客(インバウンド)の取り込みで苦戦しており、関係者は「神戸観光の目玉になれば」と、巻き返しの切り札として期待している。(尾崎豪一)

 ■インバウンド集客の救世主に

 2・5次元の人気を牽引(けんいん)した東京・渋谷の専用劇場が昨年末、東京五輪に向けた再開発に伴い閉館。運営会社が新たな専用劇場として、新幹線が止まる新神戸駅に直結した新神戸オリエンタル劇場に目をつけた。地方のファンやインバウンドがアクセスしやすく、集客が見込まれるからだ。

 昭和63年開業の同劇場は演劇やコンサートなどで使用されてきたが、さらなる利用増を目指して2・5次元の専用劇場として改装し、座席数は140席増えて808席に。昨年の来場者数は約4万人だったが、施設の担当者は「専用劇場になれば、10倍の年間40万人も夢ではない」と自信をみせる。

 その根拠は2・5次元での成功体験だ。人気作品「テニスの王子様」の舞台を開催した際、劇場にグッズを求めて座席数の5倍近い約3000人が来場し、関係者を驚かせた。

 近年、神戸はインバウンドの取り込みで大阪や京都に大きく水をあけられている。ただ、インバウンドは買い物を中心とした「モノ消費」から体験を楽しむ「コト消費」を重視するようになってきており、海外でも人気が高い「オタク文化」を扱った専用劇場が救世主になるのではと注目が集まっている。

 担当者は「世界中の2・5次元ファンを集め、アニメやゲームなどサブカルチャーの集積地としてにぎわう東京の秋葉原や大阪の日本橋に続く第3の“聖地”にしたい」と意気込んでいる。

 ■市場急成長、慢性的なハコ不足

  市場規模2兆円ともいわれるアニメ産業の中でも、「2・5次元ミュージカル」の市場は特に急成長を続けている。平成15年ごろには10億円にも満たなかった市場規模は、人気コンテンツ「刀剣乱舞」が登場した27年には100億円の大台を突破した。ミュージカルが主体のため、男性より女性ファンが多いのも特徴だ。

 2・5次元の関連企業約70社が加盟する「日本2・5次元ミュージカル協会」によると、市場拡大のきっかけは15年に登場した「テニスの王子様」だったという。斎藤工さんや城田優さん、和田正人さんら人気俳優を輩出した舞台は商業的にも成功。同協会の担当者は「ビジネスモデルの成功が認められ、2・5次元への新規参入が一気に増えた」と説明する。

 一方、人気ゆえに問題となっているのが劇場が足りない「ハコ不足」だ。東京五輪を前に首都圏の劇場やホールで老朽化に伴う改修や閉鎖が相次ぎ、業界は慢性的な劇場不足に悩む。それだけに「専用劇場があれば優先的に舞台が上演できる」と神戸の劇場への期待は大きい。

 首都圏を中心に展開してきた2・5次元の中心地が神戸に移転する効果について、2・5次元文化に詳しい須川亜紀子・横浜国立大大学院教授(ポピュラー文化論)は「国内だけでなく、2・5次元人気の高いアジア圏など海外からもファンが訪れる大きなビジネスチャンス。ファンが宿泊し、滞在型の観光につなげられるかが神戸にとって重要だ」と指摘している。

 ■2・5次元

 アニメやゲームといった虚構世界(2次元)を現実世界(3次元)の人物がなりきって表現するコンテンツ。日本2・5次元ミュージカル協会は、漫画やアニメ、ゲームなどを原作・原案とした舞台芸術全般を「2・5次元ミュージカル」と定義している。

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