「人生でしたいこととは…」 「ガルパン」舞台の町で元宣伝担当が脱サラ起業

 アニメ「ガールズ&パンツァー(ガルパン)」の宣伝プロデューサーを務めた広岡祐次さん(38)が、アニメの舞台である茨城県大洗町に共同作業スペースの運営会社を設立した。スペースの開設を通じて町の伝統に新風を吹き込むコミュニティーを作りたいという広岡さんは「移住希望者から目標にされるよう、大洗町に骨を埋める覚悟だ」と力を込める。

 広岡さんは、映像販売大手のバンダイナムコアーツ(東京都渋谷区)の社員として、ガルパンの企画段階から大洗町とかかわってきた。豊富な観光資源と町民の人柄に「商売の本質」を感じ、しだいに移住と起業を考えるようになった。

 ただ、川崎市に自宅を購入し妻と幼い子供を抱える広岡さんは、心のどこかで二の足も踏んでいた。

 背中を押したのは、一昨年に父ががんで倒れたことだった。新卒採用で入社した会社で社長に上り詰めた父が遭遇した思いがけない挫折…。「俺は人生で何がしたいんだろう」。自分が本当にやりたいことを真剣に考え抜いた末、サラリーマン時代に培った人脈もある大洗町で起業することを決断し会社を辞めた。

 ガルパンの宣伝活動を通じて知己を得た大洗観光協会の大里明会長らにも相談を持ちかけ、今年3月に会社を設立、共同作業スペース「ARISE CO-WORKING」を今月13日に開く運びとなった。起業したてのベンチャー企業関係者らに有料で部屋を貸し出し、執務スペースや会議室として利用してもらう。

 高校時代の同級生で東京都内でシステムエンジニアとして働いていた利満久師さん(38)も、構想に賛同して起業に加わった。

 広岡さんの理想は「守りの攻め」の地域活性だという。作業スペースでは、移住者や起業希望者を集めた懇談会も定期的に開く。明治時代から続く商店街に象徴される町の伝統に、新風を吹き込むコミュニティーづくりを目指すそうだ。

 とはいえ、東京から人口1万7千人弱の小さな町に人生の舞台を移し、戸惑うこともあるのでは?

 「魚はうまいが、午後10時以降は開いている店がない」

 利満さんが笑った。

(永井大輔)

 アニメ「ガールズ&パンツァー」 架空の武道「戦車道」に挑む女子高生の物語。茨城県大洗町の商店街や観光名所が登場することから、ファンから「聖地」として注目を集めた。

アクセスランキング

もっと見る

ピックアップ