平成回顧「テレビ」(下)不況、家族、多様性…ドラマが世相を映した

 昭和に放送を開始したテレビは、平成時代も社会や家庭に大きな存在感を与えてきた。その中で、平成7年の阪神淡路大震災、23年の東日本大震災という2つの大きな震災をはじめ、その他の多くの災害を伝えてきた災害報道、そして、多くのヒット作を生んできたドラマを中心に、平成時代のテレビを振り返る。(兼松康)

 テレビドラマは、平成時代にも多数のヒット作品が生まれてきた。初期、中期、後期で描かれる内容などが、世相の影響を受けて変わってきた時代でもあった。まさにドラマは時代を映す鏡とされるゆえんだ。

 超能力を持つ兄弟が過酷な運命を生きる姿を豊川悦司と武田真治が演じた「NIGHT HEAD」(4年)、過去の事件にトラウマを持つ女性警察官を描いた「眠れない夜をかぞえて」(同)。そして、登場人物が次々と死に、“ジェットコースタードラマ”と呼ばれた「もう誰も愛さない」(3年)-。平成初頭には、こんなドラマがもてはやされた。

 「バブルが崩壊し、湾岸戦争の映像がお茶の間に流れるなど、平成は不穏な時代として幕を開けた。ドラマもそんな空気を反映したものが多かった」

 坪内博士記念演劇博物館館長で、早稲田大学文学学術院の岡室美奈子教授は、そんな見方を披露する。

野島伸司の時代

 一方、大ヒットした「101回目のプロポーズ」(同)はそれまでのトレンディードラマと違い、風貌も良くない主人公が仕事もお金もなくしていく-というバブル崩壊を背景に描かれた物語だ。

 同作で頭角を表した脚本家の野島伸司は、その後、近親相姦やいじめなどの重いテーマに挑み、「高校教師」(5年)や「人間・失格~たとえばぼくが死んだら」(6年)などをヒットさせる。同様に、いびつな人物や人間関係を取り上げたドラマがはやった。家庭内暴力を描く「家なき子」(同)や母への過剰な愛を抱く夫、冬彦が登場する「ずっとあなたが好きだった」(4年)がそうだ。

 女性の社会進出が進んだ平成10年前後からは、多くのドラマで女性の活躍や連帯が描かれる。商社のOLたちの活躍を描いた「ショムニ」(10年)や女性監察医が主人公の「きらきらひかる」(同)などがそれに当たる。

■家族を問い直す

 23年の東日本大震災後、絆という言葉がもてはやされたが、家族を問い直すドラマがヒットした。同年放送の、主人公が親友の双子の子供を育てる「マルモのおきて」や、家政婦が家族を再生させる「家政婦のミタ」といったドラマが大ヒットした。

 「マルモ-」では、疑似家族ながら父親的存在だった阿部サダヲ、「家政婦-」では当初はダメ父として描かれていた長谷川博己の再生を描くなど「存在を最も問い直されたのは父親」と岡室教授はみる。

 近年はダイバーシティー(多様性)の広がりから、多様性が描かれるドラマも散見される。恋愛感情抜きの“契約結婚”を描いて大ヒットした「逃げるは恥だが役に立つ」(28年)も、恋愛の多様性を描いたといえるドラマ。さらに「おっさんずラブ」(30年)など同性愛を取り上げる作品も増えてきた。

 ドラマの見方も時代とともに変遷してきた。放送後に録画で視聴する「タイムシフト視聴」で番組放送中の視聴率が低下傾向にあり、特にドラマはタイムシフトされやすい。

 しかし、岡室教授は「ツイッター(短文投稿サイト)に書き込みながら同じドラマを楽しむなど、ネット時代だからこそ放送中の視聴で盛り上がる例もある。そういう盛り上がりをしやすいドラマも今後は数多く作られていくのでは」とみている。

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