「楽器移動の自由を」象牙使用、税関で足止め相次ぎ

 象牙などワシントン条約(CITES、サイテス)で国際取引が禁止されている希少材を使った楽器を持つ演奏家が海外の税関で足止めされるケースが相次いでいる。2017年にはギター素材のローズウッドも国際的な商取引の規制対象に。危機感を抱く音楽業界は規制緩和や楽器の“パスポート”を求め、連携し始めた。

 「楽器を堂々と持ち運べる公の証明書が欲しい」と訴えるのは長唄の女流三味線方、四代目今藤長十郎さん。海外演奏も多く、CITES発効(1975年)以前に購入したバチが象牙製のため、税関で引き留められることもあった。象牙は商業目的の国際取引が禁じられ、国外持ち込みの制限が厳しいためだ。

 「楽器を税関で無神経に触られ、つらい。半世紀前に購入したという証明も困難」と、こぼす。全国楽器協会の大村一弘事務局長は「象牙材の邦楽器が没収された報告もある」と話す。

 音響が良く、クラリネットやギターに多用される木材のローズウッドも国際的な商取引の規制対象になり、国際間の移動に煩雑な手続きが必要になった。

 こうした現状に楽器業界や演奏家団体は、希少材を使った楽器の“パスポート”発行に向け、連携。各国で公的証明書を発行することで国際的移動をスムーズにするのが狙いだ。

 ローズウッドについても米最大の楽器業界団体「NAMM」(ナム)などと協力。規制対象品目から楽器の例外扱いを求め、2019年開催予定のワシントン条約締結国会議に提案、実現を目指している。楽器メーカーのヤマハは自然保護の観点から、素材を天然材から植林材に移行する植林活動や代替素材研究を続ける。

 大村事務局長は「自然保護は大前提だが、文化面への対応も必要。音楽の発展のため、楽器の行き来は自由に」と話している。(飯塚友子)

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