新橋演舞場「母をたずねて膝栗毛」 味ある演技…寄せ鍋の楽しさ生む新作喜劇:イザ!

2014.2.15 14:00

新橋演舞場「母をたずねて膝栗毛」 味ある演技…寄せ鍋の楽しさ生む新作喜劇

 【鑑賞眼】

 多様な顔ぶれの俳優が、おなじみの作品のエッセンスの中で遊び、肩の凝らない寄せ鍋のような楽しさを生んだ新作喜劇。脚本はマキノノゾミ(演出も)と鈴木哲也。

 舞台は花の江戸。女旅芸人・お福(藤山直美)と魚屋忠太郎(中村獅童)、その妻お鶴(高橋由美子)の身よりのない幼なじみが、大恩ある大願寺の火事に、再建資金集めの珍道中を繰り広げる。集金対象は、子供を捨てた母親たちだ。

 「瞼(まぶた)の母」に「魚屋宗五郎」「巡礼お鶴」がない交ぜになり、俳優へのあて書きも重なる脚本の遊び心に、俳優も乗っている。獅童は番場の忠太郎に、酒乱の宗五郎のキャラクターも重なる。上州では水谷八重子演じる母親お浜と再会を果たすも、裏切りに遭って「上と下の瞼を合わせりゃ…」の名台詞(ぜりふ)も飛び出す。

 阿波では「巡礼お鶴」が生みの母に対面。江戸に戻れば、お福が宮津藩主側室(市村萬次郎)となった母とめぐり会い、各地で資金集めに成功する。

 出来すぎた展開だが、つい笑ってしまうのは、圧倒的な存在感で緩急自在に芝居を引っ張る直美の魅力あればこそ。獅童も引き上げられるように気弱な酒乱男の弾けた芝居。ミュージカル風に繰り返される「親はなくとも子は育つ…」の一節の通り、曲がらず育った3人の“大義”が、喜劇の後味をすっきりさせる。

 きざな浪人(奥田瑛二)や変装癖のある手代(坂東巳之助)も、極端なキャラクターがいい味。25日まで、東京・銀座の新橋演舞場。(飯塚友子)

関連ニュース