【一聞百見】京の老舗、コロナ下に攻める よーじや社長・國枝昂さん

 京都を訪れる修学旅行生の土産の定番といえば、よーじや(京都市中京区)のあぶらとり紙。昨年4月、創業116年の同社を率いる社長にわずか30歳で就任した。舞台化粧道具の行商から始まり、京を代表する企業の一つに成長したよーじやも、コロナ禍で大打撃を受けた。それでも若き社長は守りではなく、新たな事業に取り組む「攻めの姿勢」を選択した。(聞き手・京都総局 南里咲)

社内一の新参者

 「一言で言い表すのが難しいくらい、いろいろなことがあった1年でした」。家業の看板を背負う5代目の語り口は、穏やかながらも、経営者としての並々ならぬ覚悟がのぞく。

 手鏡に映る京美人の顔のデザインで知られるよーじや。主力商品のあぶらとり紙のほか、化粧品や雑貨類も販売しており、京都土産として観光客から根強い人気を集めてきた。だが、コロナ禍で、例年伸びるはずの年末年始の売り上げは、前年比8割減。感染拡大後、最も売り上げが高かった昨年11月でも減少幅は同5割に達した。「創業以来、誰も経験したことのない未曽有の事態」と危機感をあらわにする。

 よーじやは明治37年に創業。舞台化粧道具の行商から事業を始めたが、「楊枝」と呼ばれていた歯ブラシを取り扱うようになり、現在の社名につながった。看板商品のあぶらとり紙は大正10年に発売。映画関係者からの「化粧をした俳優の肌に浮く脂のてかりを抑えたい」との要望がきっかけだった。

 長らく新京極の本店と祇園店のみを経営しており、かつては「地元に愛される店」だった。平成の初めごろにドラマ「家政婦は見た!」であぶらとり紙が扱われたことをきっかけに、看板商品が一大ブームに。先斗町(ぽんとちょう)や嵐山、清水寺に出店し、「観光地によーじやあり」の戦略を取ってきた。

 近年は売り上げに占める訪日外国人客の割合が右肩上がりを続け、令和元年7月にはグループ全体で約4割、清水店では6割を超えた。そんな状況を一変させたのがコロナ禍だった。

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