電機労組、業績堅調でベア要求 「統一回答」不成立の公算大

 電機メーカーの労働組合でつくる電機連合は22日の中央闘争委員会で、電機大手の労組から令和3年春闘の要求書が経営側に提出されたことを受け、賃金水準を底上げするベースアップ(ベア)は月額2千円以上とする統一要求を基に交渉を進めていく方針などを確認した。電機業界は新型コロナウイルス禍でベア要求見送りが相次いだ自動車や重工に比べ「巣ごもり需要」などで業績が比較的堅調だが、企業間で差もあることから昨年同様、回答は統一とはならなさそうだ。

 中央闘争委では「新型コロナの電機産業への影響は他産業ほど大きくはなく、業績は一定の利益を確保できる見込み」と分析。決算発表が遅れているシャープを除く電機大手7社の3年3月期連結決算の営業利益は全て黒字を予想しており、「賃金水準の改善に積極的に取り組む」とベア要求に前向き姿勢を示した。

 さらに今年の春闘はコロナ後を見据えた新たな働き方の推進も重視している。電機連合傘下の日立製作所労組は在宅勤務や感染予防にかかる費用の補填(ほてん)1人5万円、1日当たり250円の在宅勤務手当の新設を要求。NEC労組も在宅勤務時に発生する電気代や通信費の実費相当分(1日当たり100円)を経費精算できるよう交渉する方針だ。

 明るさもみえる電機連合の春闘交渉だが、長年続いたベア要求額と回答額をそろえる「統一交渉」については、各社の業績の違いが鮮明になっていることを背景に、昨年に続き「妥結の柔軟性を認める」と回答のばらつきを容認している。日立の中畑英信専務は「もともと各社で事業が違う中で、回答額が違ってもおかしくない」と指摘する。

 また、「横並び」の妥結を崩す動きとして、職務範囲を明確にして具体的成果で処遇する「ジョブ型」雇用の導入を春闘交渉で協議する労使も出てきている。日立は6年までにジョブ型への転換を完了する方針で、平成29年以降、春闘も含め労使で定期的に議論を続けてきた。今年の春闘でも支援策などについて検討する見通しで、将来的には年功型といった横並びを重視した賃金体系の見直しにつながる可能性がある。

 ジョブ型に対しては労組側に慎重論もあり、電機連合の神保政史・中央執行委員長は、中央闘争委後の記者説明会で「これまでの制度との整合性など、労使でしっかり議論するのが大事だ」と強調した。

(桑原雄尚)

アクセスランキング

もっと見る

ピックアップ