バイデン氏就任 対米輸出の増加に期待 脱トランプ氏の揺り戻しがリスク材料に

 20日発足した米国のバイデン新政権は大規模な経済対策を表明しており、対米輸出の増加で日本経済もその恩恵を受ける。新型コロナウイルスの感染再拡大による緊急事態宣言で内需の低迷が避けられない中、外需が景気を下支えする。一方、新政権では米中摩擦や多国間貿易協定への立ち位置などでトランプ前政権からの揺り戻しが想定され、貿易体制の“正常化”へ日米が早期に協調できるかが課題だ。

 当面の焦点は新政権が掲げる経済対策。現金給付などの第1弾は総額1兆9千億ドル(約200兆円)で、2月にインフラ投資など第2弾を発表する予定だ。三井住友DSアセットマネジメントは第1弾が大型対策に慎重な共和党との協議で1兆ドルに圧縮されると予想しつつ、それでも今年の米国の実質国内総生産(GDP)成長率を0・5%分押し上げると試算している。

 第一生命経済研究所の熊野英生首席エコノミストによると、米国では景気刺激策の影響が国内生産より輸入の増加に表れやすい傾向があり、日本を含む主要貿易相手国も間接的に利益を得る。米成長率が1%上昇すれば、日本は輸出が2%増え成長率は0・4%分のプラス効果があるという。

 財務省が21日発表した令和2年12月の貿易統計(速報、通関ベース)は、輸出額が前年同月比2・0%増の6兆7062億円と2年1カ月ぶりに増加した。いち早く回復に転じた中国向けが下支えしており、昨年春の宣言時に外需の落ち込みがGDP減少幅の3分の1を占めたのに比べ、打撃は限定的だ。米国が経済対策で持ち直せば、輸出の回復基調は一層底堅くなる。

 一方、新政権発足で米国の貿易政策は「米国第一主義」から転換する。中国への制裁関税は当面維持される見込みだが、コロナ禍で傷んだ経済の再生を優先し“休戦”するとの観測もある。かつて日米が「中国包囲網」として進めた環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)に中国が参加検討を表明するなど、環境の変化は激しい。TPPを含む多国間協定に米国を早期に復帰させ、日米主導で貿易秩序を立て直せるか、日本は大きな役割を求められる。(田辺裕晶)

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