家庭内感染対策 「拭き掃除」のポイント クルーズ船で除染作業を手がけた専門家に聞く
【住まいの処方銭】
家庭内で除菌する際には、どんな点に気を付けたらよいのか。
クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」号での除染作業を手がけた日本特殊清掃隊(東京都青梅市)の理事、神野(じんの)敏幸さんにポイントを聞いた。
「家庭内に体調不良者がいない場合は、まず、普段の清掃をきっちり行うようにします。そして、プラスアルファで、複数の人が手を触れる場所はしっかり除菌するようにしましょう」
拭き掃除をする際、用いるのは雑巾やタオルだ。キッチンペーパーは破けやすく、丸まりやすい。しっかりふき取るためにもタオル類がベスト。タオルは、「から拭き用」と「洗剤につけて使う分」の2種類を用意したい。
最初にから拭きをする。その後、前回紹介したように、製品評価技術基盤機構(NITE、ナイト:東京都渋谷区)が公表している界面活性剤を、バケツ内に指定の量で溶かし、タオルを浸す。緩く絞るのがポイント。薬剤をしっかりタオルに残すためだ。
このタオルで、塗り付けるように拭いていく。作業の際には、マスクと手首まである掃除用のゴム手袋は忘れずに。
拭き掃除にアルコールを使用している人も少なくないだろうが、アルコールはタオルに染み込ませただけで揮発してしまうそうだ。「スイッチを拭くとしてもウイルスに届く前に揮発してしまいます。これでは拭いているつもりで終わってしまいます」。アルコールは手指の消毒のみに使用したい。拭く作業は、必ず一方通行で。つい往復してしまいそうになるが、「ウイルスを広げてしまいます」。
体調不良者がいなければ、タオルは一つの部屋を拭くごとに取り換える程度でOK。拭いた後は自然乾燥でよいが、気になるなら、もう1度水拭きをしておこう。 (不動産・住生活ライター 高田七穂)