コロナ禍でビール市場に変動 各社が家飲み商品重視

 新型コロナウイルス感染拡大に伴う生活様式の変化で、令和2年のビール類市場は大きく影響を受けた。ビール大手4社は今年もコロナの影響を受け続けることを踏まえた販売戦略を立てている。キーワードは「家庭向け商品の拡充」と「健康志向」、「消費の多様化」への対応だ。

 昨年はコロナ禍で外食自粛が呼びかけられる中、食卓にアルコールが登場する頻度が増え、低価格の第3のビールが人気を集めた。外食自粛で業務用需要が消えた分、ビール販売数量に占める家庭向け缶ビールの比率は上昇した。

 こうした中、主力ビール「アサヒスーパードライ」の缶商品が前年比5%減にとどまったアサヒビールはフルオープンの蓋を開けると泡が自然に湧き出す「アサヒスーパードライ 生ジョッキ缶」を4月に市場投入するほか、5月には家庭用生ビールサーバーも発売する予定で、家庭用の強化を打ち出す。

 巣ごもり生活が長引く中、消費者の健康志向もじりじりと高まっている。キリンビールの発泡酒「淡麗グリーンラベル」が前年比2%増、サントリービールの第3のビール「金麦<糖質75%オフ>」が16%増となるなど、“オフ・ゼロ”系は堅調で、サントリーは今春、「糖質ゼロ」の缶ビールの新商品で健康志向を取り込む。西田英一郎社長は「本当に良いものができた」と自信をにじませる。

 コロナ禍で家庭生活を充実させたいという思いが高まり、価格よりも嗜好や“プチぜいたく”気分を満たすなどの理由でビールを購入する人も表れた。こうした消費の多様化に対し、基幹商品を複数持つサッポロビールは「エビスビール」の強化を打ち出す。キリンはビールの「一番搾り」や第3のビール「本麒麟」の味わいのリニューアル、クラフトビールの強化で対応する考えだ。

 今年もコロナ禍の収束が見通せない中、各社は3年のビール類市場の総需要を前年比1%増と見込む。家庭向けへのアプローチに成功するか、各社の知恵比べが続く。(日野稚子)

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