国内EV回復兆し 12月販売10カ月ぶり前年超え

 国内で販売された乗用車のうち、昨年12月の電気自動車(EV)の販売台数は前年同月比31・9%増の1892台で、10カ月ぶりに前年実績を上回ったことが8日、分かった。昨年の乗用車販売は新型コロナウイルスの影響で落ち込み、EVはガソリン車やハイブリッド車(HV)と比べ回復が遅れていたが、ホンダの新商品「Honda e(ホンダイー)」の投入などで巻き返した。菅義偉(すが・よしひで)政権が2030年半ばに新車販売からガソリン車をなくす方針を打ち出し、EVへの注目度は高まる。ただ、本格普及のためにはコスト低減などの課題が残る。

 日本自動車販売協会連合会がまとめた国内乗用車の燃料別販売台数によると、昨年12月のガソリン車は前年同月比1・6%増の11万2380台、HVは同16・9%増の7万8001台。いずれも3カ月連続で前年実績を上回った。

 水素で走る燃料電池車は、トヨタ自動車の新型「ミライ」が牽引(けんいん)し、前年同月の6倍超の278台。4カ月連続で前年超えとなった。

 EVは昨年3月から前年実績を下回り続け、4月は同67・5%減の330台、5月には同68・1%減の378台と低迷していた。

 回復に貢献した「ホンダイー」は自動で駐車する機能を備えたほか、スマートフォンを鍵の代わりに使える最先端技術を搭載している。しかし、価格は標準モデルが451万円、上位モデルは495万円で、量販HVよりも高い。

 EVは電池の調達などのコストが高く、業界では「造れば造るほど赤字が出る」(大手メーカー幹部)といった声もある。

 政府はEV普及を促そうと、昨年12月21日以降に新車新規登録や新車新規検査届が行われたEVを対象に、購入時の補助金を従来の2倍の最大80万円に引き上げる方針だ。家庭や事務所の電気契約を再生可能エネルギーで作った電気で全て賄うようにするなどの条件が付くが、メーカーには追い風になりそうだ。

 トヨタ自動車は昨年12月25日、2人乗りで、一般的な軽自動車より一回り小さな超小型EV「シーポッド」を来年からの一般向け販売に先がけ、法人や自治体向けに発売。今年1月にはマツダが航続距離200キロでドアは観音開きという斬新なデザインのスポーツ用多目的車(SUV)「MX-30」のEV版を発売する。

 日産自動車も今年中頃に航続距離610キロを実現する「アリア」を投入予定だ。「世代交代」でEV市場が活性化できるか注目される。(宇野貴文)

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