【メガバンク再考】デジタル提携加速、薄れゆく存在感

自前主義からの脱却

 「次世代の金融に転換することで強い金融グループを目指す」。みずほフィナンシャルグループ(FG)の坂井辰史社長は昨年5月15日、就任後初となる新たな経営計画の発表会見でこう宣言した。打ち出したのは、非金融業領域の拡大による収益の多角化とデジタル化の推進。その戦略的な柱として据えたのが、“異業種との連携”だった。

 実際、平成30年4月からの坂井体制下のみずほFGは、デジタル分野での提携を急加速させた。平成30年11月には無料通信アプリを手掛けるLINE(ライン)と組み、スマートフォン(スマホ)の利用に対応した新しいインターネット銀行を共同出資で立ち上げることを決めた。

 「自前主義だけで、若い頃からスマホに慣れ親しんだ世代と接点を作るには限界がある」。LINEとの提携会見でみずほFGの岡部俊胤(としつぐ)副社長は、銀行単独で新たな市場獲得と金融業の付加価値を生み出すのは無理だと認めた。

 LINEはわずか10年足らずで、8千万人の利用者と新たな経済圏を獲得していた。すでに3メガバンク合計の口座数に匹敵している現状に突き動かされた。

IT企業の金融進出

 LINEのようにITや人工知能(AI)を駆使し、新たな金融サービスを提供する「フィンテック」企業の台頭は銀行を追い込んだ。ネットを通じたキャッシュレス決済や国内外の送金、資産運用の自動化など利便性の高いサービスを次々に提供し、国境を簡単にまたぐ独自の通貨まで生み出そうとしている。

 この脅威に対し、自前主義からの脱却を急ぐのは他のメガバンクも同じだ。

 今年4月、三菱UFJFGはグループ全体のデジタル推進を担ってきた亀沢宏規副社長を社長に昇格させた。同社初となる理系出身のトップ人事は、金融のデジタル化に一気にかじを切る姿勢を強調したものだ。

 「(顧客との接点を確保するには)もっと色々な企業と組むことが大切だ」。就任に向けた会見でこう強調した亀沢氏は、海外企業との協業でグローバル市場開拓までを見据えた戦略を進めている。2月に東南アジアの配車サービス最大手グラブと資本提携し、最大7億600万ドル(約780億円)を出資する。

 一方、三井住友FGは4月28日、ネット証券最大手でベンチャー投資も手がけるSBIホールディングス(HD)との資本業務提携を発表した。IT企業関係者は「両者がそれぞれ強みを持つリアルとネットの融合を図る狙い。大手同士が手を組む可能性は今後も十分ある」と指摘する。

 みずほFGは9月29日、前身のみずほHD発足から丸20年の節目を迎えた。第一勧業、富士、日本興業の3行統合で誕生したみずほが、3メガバンク体制を促した。メガバンクは不良債権問題を克服したが、その存在感は薄れている。(肩書は当時)

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