菅政権の政策実行部隊 成長戦略会議が初会合 経産省の存在感低下

 政府は16日、安倍晋三前政権下で成長戦略を推進した未来投資会議を廃止し、新たに設置した「成長戦略会議」の初会合を開いた。経済運営の司令塔機能を担う経済財政諮問会議が示した重点課題に沿って、成長につながる改革を具体化することが役割。前政権では未来投資会議を中心に経済産業省が目玉政策の立案を担ったが、廃止に伴い存在感の低下は避けられない。

 「わが国経済の持続的な成長に向けて、制度改正など成長戦略のための改革の具体策を議論してほしい」

 菅義偉首相は16日の成長戦略会議でこう述べ、新型コロナウイルスの感染収束後を見据え、企業の生産性の向上や労働移動の円滑化といった諸課題の解決策を具体化するよう指示した。

 成長戦略会議では年末ごとに戦略の中間とりまとめを示し、6月ごろ正式に内容を固める。議長は加藤勝信官房長官が務め、民間有識者として日本商工会議所の三村明夫会頭や、菅首相と関係が近い小西美術工芸社のデービッド・アトキンソン社長ら8人が参加した。

 一方、政府は16日付で未来投資会議を廃止。これまでの議論は成長戦略会議に引き継ぐと説明している。

 ただ、前政権では未来投資会議の議長を首相自身が務め、「一億総活躍社会」や「全世代型社会保障」など経産省出身の官邸官僚が立案した目玉政策を推進。諮問会議は「未来投資会議と役割が被る」として存在意義の低下が指摘された。これに対して成長戦略会議は諮問会議の下に置かれ、あくまで実行部隊の扱いだ。

 菅首相は任期満了を迎える来年秋までの衆院解散・総選挙をにらみ、政権の実績作りを急ごうとむしろ規制改革推進会議を前面に出す。看板政策のデジタル化を印象付けるため、行政手続きでの書面や押印の原則廃止などを加速している。

 とはいえ、課題はデジタル化だけではない。非正規労働者の解雇など社会的弱者ほど悪影響が大きいコロナ禍の影響で、今後は日本でも格差の拡大が一層意識されそうだ。経済を一日も早く巡航速度に戻すため感染収束後の社会構造の変化を見据えた新しい戦略が不可欠で、成長戦略会議に求められる役割は大きい。(田辺裕晶)

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