氷見野金融庁長官、一問一答 「経営を担保、米国流の企業支援も」

 氷見野良三金融庁長官は6日、産経新聞のインタビューに応じ、新型コロナウイルス収束後の新たな経済社会を支える制度整備などを重要課題に挙げた。主なやり取りは次の通り。

 --新型コロナで影響を受けた企業への対応は

 「企業の資金繰り、経営改善や事業再生をサポートするのが優先だ。さらに新しい社会経済を作る上で企業の成長を支えることが重要となり、どのように取り組んでいくか考えることが最大の課題となる」

 --具体的な取り組みは

 「例えば、日本の金融機関では不動産などの現物を担保に資金を貸し出しているが、米国では企業の事業性を評価し、経営を包括的に担保として新規事業などを支援する制度もある。そのような仕組みを作るには法律の改正が必要になるが、こうしたことも候補に考えていく」

 「金融自由化やバブル崩壊で銀行がリスクを取り企業を支える仕組みは成り立たなくなっているが、コロナ後の経済構造の転換をうまく支えるためにも早めに実施しなければならない」

 --政情不安が続く香港の金融センター機能を日本に呼び込む好機とされる

 「地政学リスクや新型コロナのようなリスクが高まっており、リスク分散の観点で日本に国際金融センターの機能を持つことはアジアや世界のためになる。そのためには金融のプロフェッショナルな人材を厚くし、金融市場としての魅力を高める必要がある。7月には政情不安などで継続が難しい外国のファンドなどに日本を一時的な避難先として迅速に認められるような制度も設けた」

 --金融機関で業務のデジタル化が進んでいる

 「オンライン化やペーパーレス化による業務効率化で終われば、デジタル化の潜在力を十分生かしたことにならない。顧客サービスを広げ、新たな課題解決を提案できるようになるのが本当のデジタル化の意義だ。6日には大手銀行の大手銀行が個人間の振り込み手数料の引き下げに向けて連携することを発表したが、非常に良い流れだ。デジタル化により決済の効率化、簡便化、低価格が進むと経済活動の範囲がものすごく広がる」

 --中国人民銀行が発行を準備しているデジタル人民元は脅威になるか

 「デジタル人民元を利用できるゾーンを作り、貿易や投資でドルを使わない世界を築く構想が中国当局にあるとされている。日本もデジタル通貨については日本銀行を中心に、欧州の中央銀行とともに研究を進めている。中銀がデジタル通貨を発行すれば金融システムにも大きな影響を与えるため、金融庁としても検討の段階で貢献していきたい。本当の課題は発行直前まで分からないだけに、最後まで課題と解決方法を追求していくつもりだ」

 --低金利や人口減少などで収益性が落ちている地方銀行への対応は

 「地銀の可能性は非常に大きく、悲観する必要はない。地銀は人材の宝庫で、地域で培ってきた身体もあり、ネットワークもある。これらを結びつけ、課題解決を見いだして、収益につなげていくことが重要だ。慈善事業として行うのではなく、収益と資源、課題解決が結びついて初めて力のある地域経済の実現に貢献できる。その潜在力、可能性は大きいと考えている」

 「地銀や地方経済の抱える課題はそれぞれ異なっており、地銀同士の再編統合だけが生き残りの答えではないと思っている。金融庁としては、各地銀の実態を正確に把握することが出発点だ。その上で、地銀同士の統合・合併を独占禁止法の適用除外とする特例法を設けた例があるように、生き残りに向けた選択肢を広げることが金融庁の仕事となる」

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