関電の原発、コロナで工事遅れ懸念 3日に対テロ施設設置期限も 

 関西電力の高浜原発3号機(福井県高浜町)が3日、同社の原発として初めてテロ対策施設の設置期限を迎える。全国では九州電力川内原発1、2号機(鹿児島県薩摩川内市)に続く3例目。高浜3号機はすでに運転を停止して定期検査入りしており、テロ対策施設を設置したうえで来年1月以降の本格的な運転再開を目指す。ただ、現場では新型コロナウイルスの感染対策の徹底が求められ、工程の遅れが懸念されている。(岡本祐大)

 テロ対策施設は「特定重大事故等対処施設」(特重施設)と呼ばれ、設置が義務付けられている。関電は当初から保有する各原発での完成は1~2年程度遅れる見通しを示しており、今年1月には高浜3、4号機が間に合わないと正式に表明した。原子力事業本部の担当者は「安全性向上のため現場工事が大規模化、高難度化したため」などと説明。高浜3号機は年内に工事を終える予定で、本格的な営業運転再開は来年1月ごろになる見込みだ。

 ただ、新型コロナの感染拡大で関電の見通しに狂いが生じている。福井県外から多くの作業員が入ることで、「工程よりも感染症対策を優先しなければならない」(関電幹部)ためだ。実際に大飯原発3号機(同県おおい町)は当初、5月に予定していた定期検査入りを7月20日に延期。県外作業員の入構を一時見合わせ、900人にPCR検査を行うなどした。

 高浜3、4号機の特重工事でも県外作業員に対してPCR検査実施を検討。関電は「現時点でスケジュールに影響はない」とするものの、福井県の杉本達治知事からは「立地地域や県民に安心してもらえるような対策を」とくぎを刺されており、関電は現場での「3密」を回避するなど対策に神経をとがらせる。

 高浜3、4号機以外の原発でも来年6月以降、特重施設の完成期限を迎え、関電は「ありとあらゆる工法の効率化を検討している」とするが、いずれも期限内の完成は厳しい状況だ。

 特重施設以外にも関電は原発稼働に不安材料を抱える。運転開始から40年以上が経過する高浜1号機や美浜原発3号機(同県美浜町)は今年9月に安全対策工事を完了する予定だが、役員らの金品受領問題で立地地域は反発を強め、再稼働に必要な地元同意が得られる見通しが立っていない。

 工事そのものもコロナの影響を受けており、森本孝社長が「工期ありきではない」と述べるなど、計画通りの稼働に慎重な姿勢を示している。

 高浜や美浜原発では、運転停止によって1基あたり月40億円程度利益を圧迫する。工場やオフィスの稼働低下で電力需要自体が下押しされており、当面はコロナが関電の経営を揺さぶる状況が続きそうだ。

 特定重大事故等対処施設 東京電力福島第1原発事故を踏まえた原発の新規制基準で設置が義務付けられたテロ対策施設。原子炉建屋と離れた場所に非常用電源や注水設備、緊急時制御室などを設ける。原子力規制委員会は期限内に完成しなければ原発の運転を認めない方針で、九州電力川内原発1、2号機は今年3月以降、順次停止に追い込まれた。

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