日本企業の“脱中国”加速! サプライチェーン複線化に経済産業省が補助金 巨大市場魅力も「経済は別」といつまで言えるか

 新型コロナウイルスやスパイ行為、香港・ウイグルなど数々の重大問題を米国に指弾されている中国。双方の総領事館閉鎖という事態に発展し、ビジネス面でも「中国企業排除」が進むなか、日の丸企業の「脱中国」の動きも加速している。コロナ禍での供給不足を受けて、サプライチェーン(部品の調達・供給網)を中国などから国内に回帰させたり、東南アジアに移す企業に対する補助金制度を経済産業省が導入、大企業を含む計87件の事業が採択された。中国ビジネスに依存するほかの日本企業も選択を迫られそうだ。

 経産省が補助金を支給するのは生産拠点の集中度が高い製品・部素材や、国民が健康な生活を営む上で重要な製品・部素材について、国内の生産拠点の整備を進める企業で、アイリスオーヤマやシャープ、塩野義製薬など57件、約574億円分が採択された。

 日本貿易振興機構(ジェトロ)も中国などから東南アジアに生産拠点を分散させる企業に補助金を支給、信越化学工業や東洋紡、HOYAなど30件、約100億円分が採択された。

 日用品大手のアイリスオーヤマ(仙台市)は、これまで中国・遼寧省の大連工場と江蘇省の蘇州工場だったマスクの生産を、宮城県の角田工場でも稼働させている。同社広報室は、中国拠点のみでは発注から納品までに時間がかかり、スムーズな搬入ができなかったことを理由に挙げている。

 明治ホールディングス傘下のMeiji Seikaファルマは、「(中国企業を含む)調達先が外部に依存していたため、複線化することでサプライチェーン上のリスクを軽減する」(広報グループ)と回答した。

 ある製造メーカーは、「もともと日本で製造していた一部製品を中国から国内製造に戻す。新型コロナによって安定的に調達が難しくなったことが要因」と回答した。

 第一生命経済研究所主席エコノミストの西濱徹氏は、「以前からサプライチェーンの見直し議論があった中で新型コロナが発生したため、経産省としては『脱中国』の狙いがあるのだろう」とみる。

 ただ、中国を離れた後の拠点をどうするかには課題もあるという。

 西濱氏は「主なマーケットが中国という日本企業にとっては、国内生産はコストが見合わず、東南アジア諸国連合(ASEAN)へ分散させる可能性が考えられる。一方で、国内での供給が必須となるマスク生産などは、国内回帰があり得るかもしれない」と指摘した。

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