IT化加速で循環型経済へ 企業間の中古品売買サービスに力 東港金属・福田隆社長

 【トップ直撃】

 資源リサイクルや廃棄物処理事業は、いまや環境経営の最前線だ。創業118年の老舗をITで変革して事業の効率化を進める一方、「企業版メルカリ」と呼ばれる企業間の中古品売買サービスも始めた。かつての大量生産、大量廃棄社会から脱却し、循環型経済(サーキュラーエコノミー)の実現を目指している。(中田達也)

 --国内の廃棄物処理や資源リサイクル市場の最近の状況は

 「中国が2017年に資源受け入れをやめたことで、国内できちんと処理をして再生原料にするニーズが高まっています。当社は自治体などの廃棄自転車や小型家電の処理をするのに、自社で加工処理し、素材ごとに選別して、日本のメーカーに再生原料として納入しています」

 --景気の動向と関係しますか

 「廃棄物処理やリサイクルは経済環境とリンクします。国内の処理能力はぎりぎりの状態が続いていたのですが、昨年10月の消費税増税以降、少し落ち着いていた感じがありました」

 --さらに新型コロナウイルス感染拡大が

 「廃棄物が減っているわけなので業界としては苦しい時期ではあります。一方で事業を立て直したり、いったん撤退して新しい商売をしたいという企業さんも多くなるので、われわれとしてはなるべく安く処理をしたり、買い取りをしてあげたり。新しくやり直そうというところには中古品などをリーズナブルに提供するといった役割があると思います」

 --東港金属の強みは 「以前から設備投資を進めて先進的な機械を導入していたことが人手不足の時代でも強みになっています」

 --業務のIT化も進めているとか

 「電子契約サービスを取り入れたり、事務作業のロボット化など、業界でナンバーワンIT企業を目指しています。リサイクル業界はいまでもファクシミリでやり取りするなど業務効率化が遅れていて、市場の横ばいが続いているのも、旧態依然とした業務が要因の一つではないかと考えています」

 --子会社のトライシクルのトップも兼務して、「ReSACO(リサコ)」というサービスを始めたそうですね

 「東港金属で長年資源リサイクル事業や廃棄物処理事業を営んできたんですが、まだまだ使えるものや動くものも捨てられていて、もったいないなと思う場面がたくさんあったんです。15年ごろからメルカリさんが台頭してきて個人間の中古品のやりとりが盛んになってきて、企業間でもできるのではないかと始めました」

 --どのような仕組みですか

 「不要になったオフィスの家具や店舗の什器などを、必要な企業にマッチングさせて提供したり、廃棄物処理や資源リサイクルも可能です。無料回収や、『まるっとお任せ』などもやっていて、企業のお客さんからみると片付けサービスにもなるわけです」

 --個人からの引き合いもあるとか

 「テレワークの普及もあって、業務用のデスクや子供の勉強用の椅子がほしいといった声もいただいています」

 --千葉県富津市にリサイクルセンターも設置しました

 「これから飲食店や宿泊施設でいったん撤退したり、クローズしたりする方が増え、不用品が供給過多になってくる可能性があるので、一定期間保有する『ダム機能』が重要になります。いいものを捨ててしまうのはもったいないので」

 --企業間の中古品市場は拡大しますか

 「江戸時代の日本はサーキュラーエコノミーが実現していて、大量生産、大量廃棄になったのは戦後なんです。これをITの力で元に戻すことができると思います。企業間の中古品市場は2000億~3000億円といわれていますが、2兆円から3兆円までふくらむ可能性があります」

 --社会的な役割を意識していますね

 「SDGs(持続可能な開発目標)など社会システムにリサイクルが組み込まれるなかで、われわれも社会にどう貢献するかを考えやすくなっています。浮ついた感じで『地球環境のために』ということではなく、リサイクルの意義を大声で言えるようになってきたという面もありますね」

 【就職】大学卒業後、「家業を継いでとは考えていなくて、どちらかというとメーカーで物を作って売っていきたい」という思いで、大手電子部品メーカーのミネベア(現ミネベアミツミ)に入社した。

 営業で大型案件を獲得したことも。「日立製作所に初めてミネベアのハードディスク用のスピンドルモーターを採用してもらったのが私が担当のときでした。ミネベアの株価が少し上がったり、社内で表彰されたのがいい思い出です」

 【経営者】影響を受けている経営者は日本電産会長の永守重信氏だという。「日本電産はミネベアのライバルで、戦っているとやはりすごいと思いました。ですから永守さんの本もよく読みましたし、影響を受けました。会社全体の意思決定の速さがすごくありましたし、成功するためのしつこさ、シンプルなことをひたすらやりきるというのはいまでも勉強になりますね」

 【家業】東港金属に入社したのは2002年。「当時、社長だった父に『いつになったら戻ってくるんだ』と言われて」。ところが家業に戻って7カ月で父が急死、いきなり社長を継ぐことになった。「右も左もわからず、最初の月に1500万円ぐらい赤字が出て、それでスイッチが入りました。スクーターを買って自分で飛び込み営業もしていましたね」

 工場のレイアウトを変えて客の受け入れをしやすくするなどサービスレベルを上げ、「売上高が9億円弱だったのが70億円弱まで伸びました」。

 【ラグビー】中学から大学までラグビー選手だった。「ポジションは第1列のプロップで、スクラムを組んでいました」

 学生時代の体重は約90キロあり、「相当無理して食べていましたね。朝からどんぶり飯を食べ、プロテインも1日1リットルぐらい飲んでいましたがそれでもなかなか体が大きくなりませんでした」。

 現在の体力作りは、ユーチューブのフィットネス動画を見ながらのトレーニング。「相当きついですが、スカッとします」

 【Bリーグ】プロバスケットボールB2リーグの「アースフレンズ東京Z」のスポンサーも務めている。「バスケットボールはエンターテインメントの文化が進んでいて、プレー中以外にも楽しませることを徹底しています。消費者向けビジネスの勉強という意味もありますね」

 【家族】妻と1男1女。

 【座右の銘】《JUST DO IT》《過ちて改めざる、是を過ちという》

 【会社メモ】金属スクラップやプラスチックのリサイクル、産業廃棄物の中間処理事業などを手掛ける。本社・東京。1902年創業、47年会社設立。2019年12月期の売上高約70億3000万円。従業員数138人(20年1月現在)。

 ■福田隆(ふくだ・たかし) 1974年3月生まれ、46歳。東京都出身。成城大経営学部経営学科卒業後の96年にミネベア(現ミネベアミツミ)入社。EMCジャパンを経て2002年2月に東港金属に入社し、9月に4代目社長に就任。18年5月には子会社のトライシクルを設立、代表取締役CEOを兼務する。

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