アプリ開発から最新のテクノロジーで革新へ 「エンジニアの声を世界に届けたい」 bravesoft・菅澤英司CEO

 【トップ直撃】

 「首相官邸アプリ」や民放公式テレビポータル「TVer(ティーバー)」など、800件以上のスマートフォン向けアプリを手掛けてきた。さらに株主総会やイベントについても最新のテクノロジーで革新を進める。ラジオパーソナリティーやユーチューバーとしての顔も持ち、エンジニアが「勇気」を出して声を上げることのできる環境作りへ情報発信を続けている。(中田達也)

 --公的機関や大企業も含めて多くのアプリ開発を手がけてきました

 「スマホが出てきた瞬間から全力でアプリを作り続けてきたことで、他社が追随できないぐらい実績が積み上がっています。実績の有名度、レベルではトップクラスといえると思います」

 --強みや特徴は

 「ただ頼まれたものを作るという会社も多いんですが、われわれは自社開発のアプリも成功しているので、デザイナーも含めて企画段階から参加できることが強みですね。もう一つは経営陣の大半がエンジニアであることです。エンジニア主体のベンチャーはそれほど多くありません。あとは中国やベトナムに子会社を作っているオフショア態勢ですね」

 --良いアプリを開発する秘訣(ひけつ)は

 「新型コロナウイルスの問題が起こる前のことですが、クライアントやエンジニアとデザイナーも含めて一緒に合宿に行くんです。アプリってちょっとした違いで使い勝手が良くなったり悪くなったりします。クライアント側もいろんな知識を持っているのでそれをぶつけ合わないと良いものが作れないんですね」

 --意外と体育会系

 「エンジニアといえば研究室で黙々とやっているイメージですが、学生時代に友達とアプリを作ったところから始まるので、ワイワイやるカルチャーが続いていますね」

 --自社開発ではイベントアプリ「eventos(イベントス)」に力を入れていますね

 「イベントのOS(基本ソフト)という意味です。イベントをもっと便利にするためにデジタル化するプラットフォームを作ろうという狙いで、イベントスを入れるとお知らせやチケットから会場案内、アンケートまでいろんなテクノロジーが使えます」

 --新型コロナウイルスの影響は

 「リアルなイベントが減ったことは逆風ですが、ライブ配信やオンラインでは追い風が吹いていて、問い合わせ数ではコロナ前の150%ぐらいになっていますね。ライブ配信などオンライン開催へのシフトを進めています。株主総会のオンライン化への取り組みについても発表したところ、多数の問い合わせをいただきました」

 --コロナ後の見通しは

 「現地に来る人はソーシャルディスタンス(社会的距離)のために3分の1ぐらいになっても、ライブ配信などで見ている人は全体で2倍、3倍になるというイベントができればと考えています。一方で逆にリアルへの要求が強まるんじゃないかとも思っています」

 --海外展開は

 「中国はイベントが好きで、大きな会場がたくさんあります。根強いメード・イン・ジャパン嗜好があるので、日本製の最高のディスプレーと組み合わせるなどでいけるなと思います」

 --「世界初のエンジニアのためのラジオ番組」も持っていますね

 「20年ぐらい前、エンジニアは裏方中の裏方のような存在で、絶望感のようなものがありました。いまでもちょっと変わった人とか気難しい人というイメージが残っています。業界で最強のエンジニアを集めて世の中を変えていく、エンジニアの声を世界に届けていくという思いは以前からありました」

 --反響は

 「ユーチューブも始めましたが、働きたい人から応募が来たり、会ったことのない取引先の人に声をかけていただくなど全然違ってきましたね。業界の認知度も上がっています」

 --人前でしゃべるのは得意ですか

 「全然苦手でした。会社を作って、営業しないと死ぬ、となったときにがんばっていたらいつの間にかしゃべれるようになっていました」

 --新規株式公開(IPO)については

 「なるべく早くしたいと思っていますが、来年以降になると考えています」(4月23日にオンラインで取材)

【学生時代】大学は情報系に進んだ。「ウィンドウズがすごい勢いだったのでいちばん面白そうなところに行きたいと考えました」

 大学2年時にアルバイトでエンジニアの仕事に就いたのが転機となった。「当時はiモードバブルで、学生5人で作った野球のシミュレーションゲームのアプリが月に1000万円を売り上げたこともありました。4年生のころには社員に指示を出すぐらいになっていました」

【起業】就職活動はせず、大学卒業と同時に友人と起業したが、苦労も多かった。「友達関係で仲良くやっていると、会社として責任が生じ、お金が動くと難しい問題が起きます。体もボロボロになり、会社を抜けて1人で作ったのがいまの会社です」

【社名の由来】「勇気を持ってソフトウエアを作る会社を作ろうという意味です。真面目なエンジニアが勇気を持って声を上げ、理想を追求しないと、充実した仕事はできません」

【5G】NTTドコモの5G(第5世代移動通信システム)端末の購入第1号として取材を受けた。「5Gの速さを体験する動画を撮ったらユーチューブで伸びるんじゃないかと旗艦店に並んだら、たまたま1番になって、ニュースで放送されたりしました」

 5Gの可能性は「エンタメやスポーツの世界も変えられると思います。スポーツを生で見ながら実況を聞くのもリアルタイムで可能です。5Gとイベントスのプロジェクトも進めています」。

【家族】妻と5歳の双子の男の子。「在宅勤務ではリモート朝礼にも入り込んできてたいへんでした。いまはコンピューターよりも自然で遊ばせることを大事にしています」

【旅行】年末年始は1人で世界中を旅しているという。「今年はキャンピングカーでアメリカをドライブして、グランドキャニオンを目指したのですが、携帯だけ持って何気なく歩き始めたら帰れなくなってしまいました。真冬だったので死ぬかと思ったんですが、たまたまキャンプ場があって。そこで一晩過ごしました」

【ダウンタウン】「好きだと言い続けることが大事だと痛感しました」というのが、ダウンタウンの松本人志(56)考案のアプリ開発を手掛け、実際に会ったことだ。「自社アプリ『bokete(ボケて)』も影響を受けています。お会いしたときはこちらからは話しかけられませんでしたが、ギャグで周りをなごませていたのが印象的でした」

【会社メモ】スマートフォンアプリの受託開発や自社開発を手掛ける。本社・東京。2005年有限会社ブレイブソフト創業、06年株式会社へ組織変更、20年会社名をbravesoftに変更する。中国やベトナムにも開発拠点を置く。これまでのアプリ開発は800件以上、累計1億ダウンロードを超える。売上高は非公表、従業員数約90人。

■菅澤英司(すがさわ・えいじ) 1981年10月生まれ、38歳。東京都出身。法政大情報科学部時代からエンジニアとして活動し、卒業後、22歳で起業。2005年、有限会社ブレイブソフト(現bravesoft)を創業する。ラジオ日本で毎週火曜深夜1時から「目指せ!最強ハッカーRADIO」に出演中。ユーチューバーとしても活動している。

アクセスランキング

もっと見る

ピックアップ