かんぽ生命、再建へ課題山積 信頼回復の道は険しく

 特別調査委員会による調査が終わり、月末には金融庁などが出した業務停止命令が解除されることで、かんぽ生命保険の不正販売問題は一つの節目を迎える。だが、不利益を被った顧客の対応や調査は終わっておらず、損なわれた信頼を回復するまでに相当な時間を要しそうだ。日本郵政グループの再建を託された新経営陣には、組織風土の改革や成長戦略づくりなど、課題が山積している。

 不正の全容を解明して顧客に与えた不利益を解消することが、郵政グループの再生に向けた出発点だ。調査をめぐっては、保険料の二重徴収など不利益を与えた疑いのある約15万6千人分の調査に加え、新たに判明した多数契約などで不正の疑いがある約6万人分の追加調査も実施しており、不正の有無を確認するのは6月までかかる見通しだ。

 このため、行政処分が解除される4月以降も保険商品の営業再開を当面は見送ることになった。調査や顧客への対応が道半ばであるほか、不正に関与した郵便局員の処分もこれからであり、時期尚早と判断した。

 不正の再発防止に向けては、新規契約に偏った営業目標や評価体系の見直し、勧誘時の録音などの施策が着々と講じられている。だが、仕組みの形だけ整えても機能しない。

 特別調査委は「改善策が効果を挙げるには、全役職員が仕事に誇りや責任を持つことが不可欠」(伊藤鉄男委員長)とし、時間をかけ意識や風土の改革を進めなければ、根本的な解決にはつながらないとの認識を示した。

 金融事業に依存した収益構造がかんぽ問題の一因になったことから、多角化も課題だ。日本郵政の増田寛也社長は不動産事業の育成を掲げるが、柱になるにはまだ力不足で、新たな収益源の開拓は遅れている。

 一方で、低金利による金融の収益先細りを受け、郵便局員を1万人削減する案も浮上する。令和3年度に始まる次期中期計画でどう成長戦略を示すかが注目されるが、信頼回復が見通せない中、グループの将来像を描くのは容易ではなさそうだ。(万福博之)

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