ふるさと納税、制度のひずみで混乱 趣旨に沿う運用必須

 ふるさと納税の新制度からの除外決定をめぐる総務省と大阪府泉佐野市の争いで大阪高裁から国勝訴の判決が言い渡されたが、対立はなお続く見通しだ。問題の根本にはふるさと納税制度そのものがはらんでいたひずみがある。勝訴した総務省側も、今後は制度の趣旨に沿った適切な運用に努める必要がある。

 「負けられない戦いだったので本当に勝ててよかった」

 総務省幹部は勝訴の一報に胸をなでおろした。新制度から泉佐野市を除外した判断が誤りとされれば、「規制がなければ何をやってもいいんだとの誤解を(他の自治体に)生んでしまうところだった」との心配があったためだ。

 泉佐野市はインターネット通販大手アマゾンのギフト券を贈るキャンペーンを実施し、平成30年度に全国トップの497億円を獲得。全国の自治体が集めた寄付金総額の約1割を占めるほどの存在感を示した。

 だが、その裏で同市に寄付した人が住む自治体では税収が減少し、行政サービスの質が落ちる可能性がある。総務省の要請に従い、過度な返礼品を抑制してきた他の自治体から不公平との声が噴出すれば「制度を適正に運用できなくなる」(総務省幹部)懸念もあった。

 もっとも、ふるさと納税が「ふるさとを応援する」という制度の趣旨からかけ離れていった責任の一端は総務省にもある。制度を軌道に乗せるために27年度に減税対象となる寄付額の上限を2倍に引き上げるなど拡充を進める一方、返礼品のルールづくりは後手に回り、過度な返礼品競争を招いたからだ。

 こうした制度設計の甘さを踏まえ、昨年6月に返礼品を「寄付額の30%以下の地場産品」などとする基準を守る自治体が参加できる新制度に移行し、再出発を図った。総務省幹部は「地方分権の観点から最初から規制で縛りたくなかったがやむを得ない」と語る。

 新制度の下では昨年の台風15号や19号などの被災地支援を目的とした寄付金が多く集まるなど「本来の趣旨に沿った寄付が活発になってきた」(総務省担当者)。制度をめぐる一連の混乱を踏まえ、総務省は健全な制度の発展に向けた適切な運用を徹底することが求められる。

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