企業統治強化も…遅れた新体制移行 ゴーン逮捕1年

 前会長、カルロス・ゴーン被告が逮捕されて以来、日産自動車の経営は社内外から大きく揺さぶられ、激動の1年となった。この間、業績の悪化に歯止めがかからず、株価は約3割下落した。コーポレートガバナンス(企業統治)強化には一定の進展があったものの、6月下旬に社長に再任された西川(さいかわ)広人氏が9月に辞任するなど混迷を深めた。新体制移行は12月1日で、本格的な再スタートは、ゴーン被告逮捕から約1年後にまで遅れた格好だ。

 ゴーン被告が逮捕された昨年11月19日夜に記者会見した当時の社長、西川氏は「会社の仕組みが形骸化し、透明性が低かった」と、事件の背景に企業統治の機能不全があると認めた。もっとも、事件を厳しく指弾した西川氏は、共同最高経営責任者(CEO)を務めるなど、ゴーン被告と二人三脚で経営に携わっていた経緯がある。このため、今年9月に社長を辞任するまで責任論がくすぶり、不安定な経営体制が続くことになる。

 日産は昨年12月、社外取締役や外部有識者らでつくる「ガバナンス改善特別委員会」設置を決定。特別委の今年3月の提言に基づき、日産は6月の定時株主総会で、経営の監督と執行を分離した「指名委員会等設置会社」に移行。取締役会の過半数を「社外」が占めるようになった。

 9月には西川氏の報酬不正疑惑が強まり、刷新された取締役会が事実上の解任に踏み切った。強化された企業統治が機能を発揮したともいえるが、西川氏の責任論や不正疑惑は定時総会前からあった。社外取締役らは「経営の継続性」を重視して西川氏の再任を認めていたが、グラス・ルイスなどの議決権行使助言会社は西川氏の取締役再任に反対を推奨していた。もしも6月に刷新できていれば、約半年早く本格的な新体制で業績改善に取り組めた可能性がある。

 ルノーとの関係に関しても、“扇の要”だったゴーン被告の不在により、両社の不協和音が目立った。1月、ルノーの会長にジャンドミニク・スナール氏が就任すると、三菱自動車を含む3社が新しい意思決定機関の設立で合意するなど関係改善に傾いた。だが結局、ルノーによる日産への統合提案や日産の委員会人事、欧米フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)とルノーとの統合交渉などで、意見の対立が絶えなかった。(高橋寛次)

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